YAMAHAからプリメインアンプ3モデルが9月から10月にかけて発売になるようで。
その中で私はあえて末っ子モデルのA-S301を中心に紹介してみます。
A-301は現行のA-300の改良モデルという位置づけで、今回の3モデルに共通する“ToP-ART”(Total Purity Audio Reproduction Technologyの略らしい)を踏襲したアンプです。
国産オーディオ界はどうもこういう略語が昔から好きですけど、要は左右対称と経路最短化、それに制振・高剛性シャーシのようです。
A-S300も左右対称が謳ってありますし、写真で見比べると基板もかなり似ていてそう大きく変わってないようにも見えますし、定格出力60W×2のシングルプッシュプル構成や重量も同じです。
いちばんの違いは24bit/192kHz対応の光/同軸デジタル入力を装備した点でしょう。
いかにも別仕立てっぽいDAC基板が追加されていて、OEM(全体も?)っぽい雰囲気も漂いますが、先日のDigiFi付録DDCがあればこれでUSB入力もカバーできるなと、それで下位モデルをあえてピックアップしたわけです。
写真で見る限り、もう一つ上のA-S501とDAC基板は全く同じようですし、MM対応のフォノイコライザーを含むプリ部やボリューム周りもほぼ同じっぽいですから、コストパフォーマンスはA-301が断然高いでしょう。
ちなみにA-501との違いはパワー部で、ここが85W×2のパラレルプッシュプル構成となっています。
メーカー側のプッシュしたいモデルはおそらく最上位のA-S801で、こちらはES9010K2Mを搭載した5.6MHzまでのDSD、384kHzまでのPCM対応のUSB DAC機能がウリです。
さすがにこのDAC基板は全く別物ですけども、あと載せっぽさはどのモデルも同じようなものです。
またアンプ部も100W×2のパラレルプッシュプルですから、中途半端なA-S501よりはこっちのほうが良いかもしれません。
ただこういう複数モデル展開を見て思うのは「メーカーとして本当に作りたかったのはどれ?」という点です。
さきほども書いたように今回だとおそらくA-S801なんでしょうけれど、それならば作りたかったモデルだけ出せば十分なんじゃないかと、つい思ってしまうんですよね。
各部共通化などを図ってコストダウンを狙っているところも見え隠れしますし、無駄なヒエラルキーで多品種展開するのはメーカーにとっても大変でしょう。
ヤマハは以前から好きなオーディオブランドですが、ごく最近のモデルはどうも少し以前とは違う雰囲気を感じています。
この価格で出していかなければならないのだから、仕方ない面もあるのでしょうけどね。