ヤマハからアナログプレーヤー「GT-5000」の発売が正式に発表されました。
発売はまだ来年の4月ですが、金額は大方の予想よりは安めの60万円とのこと。
トーンアームまでオールインワンということからすれば中堅クラスのアナログプレーヤーという形になるかと。
昔のGT-2000を知る人にとっては高いという印象もお有りでしょうけども、時代も違いますからね。
反面、気になる部分も結構ありまして、それらがマイナス要因に捉えられなければ良いなぁという印象もあります。
いちばん目立つのは歴代のGTシリーズがダイレクトドライブだったのに対し、今回のGT-5000はベルトドライブというところでしょう。
それもいわゆる外ベルトではなく、真鍮製の2kgのインナーテーブル、そして外側はアルミ製の5.2kgのターンテーブルとなっています。
重量や素材選びはまぁ分かるのですが、どちらも削り出しというのがちょっと気になります。
いくら削りだしで精度良く削ったとしても重量バランスを取るのはそう容易いことではないはずで、その辺りへの対処をどうしたのかな?という点に触れられていないのが気にかかります。
またこれだけ重量級のターンテーブルなら、普通はシャフトについてもセールスポイントにしてくるはずなのですが、そちらの記載も見当たりません。
実際、発売がかなり先になっている理由についても「パーツのほとんどが金型によるものではないため精度や品質を追求するのに相当の手間がかかる」ことを理由に挙げているようです。
もうひとつ気になるのは製品ページで背面に見える「MADE IN TAIWAN」の文字。
日本製でないのは最近のYAMAHA製品を見ていて仕方なしと思っていましたので、おそらく最近の拠点であるマレーシアかと思いきや、台湾製と…。
台湾といえば多くの「国産」プレーヤーの実質的なOEM元となっている国でもあります。
すでに技術的なバックボーンがないのかもしれませんが、GTの名を冠した以上、中途半端な製品では許されるはずもないですし、せめて得意の木製キャビネットだけでも国内製造を謳うくらいのことはやってほしかったかな。
どうしてもネガティブな内容が並んでしまいますが、もうひとつ気になるのがトーンアーム一体型は良いとして、ケーブルはRCAやXLR出しという部分です。
ケーブル選びが便利という点ではこのほうが良いのでしょうが、交換可能な電源ケーブルも含め、重いケーブルを後ろにぶら下げてしまってはせっかくのプレーヤーのバランスも崩れてしまいます。
インシュレーターにせっかくWind Bellを手がけたメーカーとの共同開発の「特殊三次元バネ構造」を使ってもケーブルでバランスが崩れたら意味がないですからね。
それを言い出したらダストカバーも…とはなりますが、そちらは変動要素がないですが、ケーブルは違いますからね。
ネガティブなところはそのくらいにして、逆の見方をすれば過去のGTに縛られずベルトドライブにして、モーターも正弦波生成で24極シンクロナスモーターを使ってあるのは潔いと思います。
裏を返せばダイレクトドライブ用モーターを昔のようにビクターから調達できないということでもあるのでしょうけれど。
なお、ストロボなどがないデザインですが、製品にはストロボスコープとライトが付属するようです。
もうひとつ、他との違いが目立つのはピュアストレート・トーンアームでしょう。
ピュアストレートのメリット、デメリットはあえてここでは触れずにおきますが、他と同じでは面白くないし、アーム加工技術もまたミッシングテクノロジーな部分がありますから、ストレートで新しい素材を使い、短く設計できるのは良いことでしょう。
交換可能なヘッドシェルをあえて選んだのも遊び心が活きています。
いまさらYAMAHAがカートリッジを出してくることはないでしょうけれども。
また内部配線にはPC-TripleCを使ってあるそうで、こういう部分を見るとトーンアームはかなりこだわったところと共同開発してるのではないかな?と感じます。
その昔、GTシリーズの頃はSAECのトーンアームに交換可能だったりしましたが、これが売れたらアームレスモデルも出してくるのかも。
サエクもその頃までには復活しているかもですけど、お値段はターンテーブルより高価になるかもしれませんね。
今回、GT-5000よりも先にプリアンプ「C-5000」と「M-5000」が12月上旬に出てくるそうです。
こちらはマレーシア製でして、それぞれ90万です。
プリアンプは左右の基板を上下に裏同士を重ねて積んでいるので、それぞれをシンメトリーにするために左右対称の基板をおこすなど、こだわりは感じられますが、そんな幅広に設計せず素直に横に並べてフォノイコライザーを別基板にしたほうが…と思ってしまいます。
そもそも回路ごとに駆動電圧も異なることでしょうし。
他社は電子ボリュームに注力している中、ボリュームの貧弱さも目に付きます。
もしかしたらこっそり電子ボリュームなのかもしれませんが、仮にそうでないとしたらせっかくシンメトリーにした基板も電源トランスを挟んだフロントパネルにトーンコントロールやボリュームで引き回すことになってしまうように見えますが…。
なおアンプは5年保証ですが、なぜかプレーヤーのほうは3年保証だそうです。
あと一歩の詰めが甘い印象は拭えませんが、本気でピュアオーディオを続けていくつもりであれば国内で人を育ててコツコツ続けていってほしいなと思います。
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