以前も紹介しましたが、今月発売のエイ文庫をやっと読めましたので
ご紹介がてら、ご報告を。
まずは「安原製作所回顧録」です。
安原製作所回顧録 (えい文庫 158) 安原 伸 エイ出版社 2008-01-10 by G-Tools |
著者の安原さんは、もちろん安原製作所の創始者で、唯一の社員。
安原一式は少し前からのカメラファンなら、結構有名かと。
ただ、その後、発売された一体型レンジファインダー「秋月」は
私も噂は知ってたものの、現物はお目に掛かったことがありません。
著者さんは元々、京セラで10年間、カメラ開発をされてきた方で、
あの「CONTAX AX」の開発にも関わったとか。
それを自慢ではなく、レンズ設計の観点からみれば、あれは全く
レンズ設計を無視したAFだ、と、ばっさり切るあたりが技術者魂だなぁと
感じます。
確かに全群繰り出し式なら問題ないものの、フローティング式のレンズ
では、構造的に無理があるのは確かです。
それに、構造も複雑になりすぎて、精度や品質が保ちづらかったこと
でしょうねぇ。
文章も全般的に技術者の香りが強く出ているので、撮影する立場から
考えると、うーん、と思う時もあるかも。
その点、hanaさんの「東京ご近所写真散歩」は、エイ文庫のカメラ本の
良い部分がうまくまとまった良作だと思いました。
東京ご近所写真散歩―hanaの (えい文庫 159) hana エイ出版社 2008-01-10 by G-Tools |
写真家さんの本となると、つい写真やエッセイが中心になりがち
ですが、カメラの紹介もタイミング良い感じで交えてあって、
hanaさんの写真に憧れる方に、「あー、こんなカメラもあって、こんな
写真が撮れるんだ」と感じさせてくれます。
髪質も微妙に、いつもと違ったものが使ってあって、そういうところも
こだわりで決められたのかなぁと思いました。
個人的には後者がオススメかな。
置いてあるお店がやや少なめなのが欠点なエイ文庫ですが、
見つけたらぜひ目を向けてみてくださいませ。