• 066月

    DENAFRIPSのR-2R DAC「ARES II」を導入してみました。

    同社のDACとしてもR-2R DACとしても入門機に相当しますが、うちは古い機材も多いので最新鋭(当社比)でディスクリートの機材も入れてみようかなと。
    正直、Wadia一辺倒に行くことも考えたのですが、やはり年代的に古いですし、ハイレゾ音源を活かすといったことを想定するとやっぱり新しいものから選ぶべきかなと。
    USB入力だとPCMで24bit/1536kHz、DSDはDSD1024まで対応しているというのはなかなか強烈です。
    なお同軸や光入力でもDoPも可能だそうですが、対応機器が家になさそうなので試していません。

    本体サイズはかなり小さく、W215xD230xH45mmで重さは3.5kgほどです。
    高さはたぶん脚を含んでいないですし、DACにしては大きめのトロイダルトランスを搭載しているのでずっしりとした感触はあります。
    参考までにうちでもまだ活躍中のDAC複合機のFOSTEX HP-A8はW213xD315xH78mm、3.8kgなのでわりと近いサイズ感です。

    内部は大きめのトランス、そして大量の(小さい)コンデンサ、そして抵抗群が目をひきます。
    高級機のような左右やデジアナ分離とか独立電源みたいなことはされてないですけど、それなりに物量投入されていると思います。

    接続はSoundgenicからのUSB接続、それにWadia 23からの同軸接続としました。
    AES/EBUやI2Sはないので、やはりメインはUSBということになるでしょう。
    出力側は本来だとXLRが有利なはずですが、KRELLのプリがRCAオンリーなのでRCA接続としました。

    注意点としては出力インピーダンスが高めらしく、接続先の入力インピーダンスができれば10kΩ以上あったほうが良いというところでしょうか。
    ちなみに出力インピーダンスは実測の情報ではアンバランスで1.2kΩくらい、バランスで2.4kΩくらいらしいです。
    KRELL PAM-3はCD入力が47kΩ、他が10kΩなので問題ないでしょう。
    参考までにAccuphase C-280Lはアンバランスが20kΩ、バランスが40kΩですので、パッシブプリやパワーアンプ直結などでなければ大抵は大丈夫でしょう。

    音や性能については海外サイトにたくさん出ていますけれど、うちで聴いた印象もそれに近く、「自然でクセが少ない」というのが第一印象です。
    ボーカルが自然で艶やかでほのかにリバーブ感が強まる印象もありますが、人工的な感じがほとんどありません。
    ハイレゾ音源も「ハイレゾだから」というよりも本来の音源が持つ良さを素直に引き出してくれて誇張が少ないです。

    Wadiaからの同軸接続もしてみましたが、こちらもクセが少なく自然な描写です。
    Wadia 23直接と聴き比べてみると、Wadia直接のほうが厚みがあるようにも思えますがやや硬さが感じられ、ガサつきも多少あります。
    DENAFRIPSのほうが、オーディオ再生よりも生音に近いような再現の方向性であるように感じられました。

    ディスプレイや操作系もシンプルですが、OS/NOSモード、OSモード時はシャープフィルターとスローフィルターを選ぶこともできます。
    NOSモードは本来のNOSではなく「16倍オーバーサンプリングしたサンプリング点を直線で結んだ」ような擬似的なものらしく、計測だけでいうとOSモード(シャープフィルター)が優位らしいです。
    NOSモードで聴いてみると、Wadiaに近い雰囲気で音像がタイトになってやや硬調になりますが、特別ナローとは感じず許容範囲ではあります。
    OSモードのSlowフィルタは細部表現が高まって空気感が活きてくる印象です。
    Fastフィルタは直接音がしっかりして力強く感じ、音色としてはこちらのほうがR-2Rらしさもあって、このDACに合うように感じました。
    ただ全体としては、のんびりリラックスしてゆっくり音楽に浸りたくなる音色が印象的です。

    現状はあまり凝ったアクセサリなどは投入しておらず、ヒューズを手持ちのLittelfuseのセラミック管に交換したのと、グリーンカーボランダムの袋を置いたくらいでしょうか。
    ただ常時電源オンだと発熱は意外と多いので、排熱はしっかり確保したほうが良いと思います。
    裏に電源がありますが、通常はスタンバイ運用でこの時にはほとんど発熱はありません。
    音質的にはある程度ウォームアップの効果が高めな機種のようなので、特に導入当初はしばらく通電してから評価したほうが良いかと思います。

    ここまで高性能な製品を普及価格帯で出してくるというのは素直にスゴいと感じます。
    ただ諸々の事情もあってか、現在は入手しづらいのが欠点でしょうか。
    将来のモデルはもっと値上がりしてしまいそうな予感もありますし、もし購入可能な状態であれば、CDやレコード主体の方もお試しで導入してみる価値は十分あるDACかと感じています。

    Filed under: Audio
    2022/06/06 12:00 pm | Denafrips ARES II はコメントを受け付けていません
  • 036月

    ゼンハイザーのワイヤレスヘッドホン「MOMENTUM 3 Wireless」を導入してみました。

    すでに以下のようなワイヤレスヘッドホンを7本所有しているのですが、DALIの電源スイッチが不調で使いづらくなってきたので安定感のある専業メーカーのものを追加しておこうかなと。

    ・AKG Y600NC Wireless (iPhone XS)
    ・B&W P7 Wireless (iPad)
    ・DALI IO6 (iPhone 13)
    ・MASTER&DYNAMIC MW50
    ・SHURE AONIC 50 (Surface Pro)
    ・SENNHEISER PXC360BT
    ・SONY MDR-1ABT (Mac Pro)

    世間的には名前も似ている「MOMENTUM True Wireless 3」が評判ですけど、動画閲覧やリモート会議など屋内需要主体なのでイヤホンよりもヘッドホンの出番が多いです。
    #ワイヤレスイヤホンもそれなりもすでに保有していますし。

    さて今回のM3AEBTXLですが、作りや装着感はさすがこなれてきているなと感じます。
    アラウンドイヤーとしてはやや小ぶりなサイズですが、個人差はあると思いますけども耳が痛くなるようなことはないですし、なにより折りたたんで電源オフという仕様がとても使いやすいです。
    #スライドスイッチが不調でなかなか電源の入らないDALI比…。

    使い始めた頃は低域がもっさりしていて「これで大丈夫?」と思いましたが、エージングが少し進むと低域のモヤが晴れてきました。
    最初はやや低域過多で抜けが悪かったというわけですけれど、それは数時間で早々に解消するようです。
    ただ全体としてはリスニング寄りのチューニングで、音傾向としては知っているモデルだとHD650に近い方向性でしょうか。
    もちろん密閉型なので完全に同じではないですし格も多少は違いますけど、厚みがありつつ芯がしっかりしていると思います。
    リスニングに向けつつも質感や情報量も失うことなくバランスが取れています。

    ファームウェアは4.0.8で動作も安定しています。
    ノイズキャンセリングもSONYほど強力ではないものの、DALIと比べればしっかり効いていて、しかもあまり圧迫感のないものです。
    外音を最も遮断する「最大モード」、移動時に効果的な「風切り音低減モード」、内側のマイクを使った「圧迫感低減モード」と3つのモードがあるので好みと場面に合わせて使い分けできますし、ノイズキャンセリングによる音質の変化も最小限だと思います。

    コーデックはaptXやaptX LLにも対応していますが、動作確認以降はiPhoneなのでAACで使っています。
    欲を言えばLDACへも対応したらうれしいですけど、そこまでこだわるならケーブルで繋げば良いですし気軽に楽しめるほうを重視しています。
    ケーブルも付属していて、ヘッドホン側は2.5mm4極なのでバランス接続も可能なのかもしれません。
    ただ少し奥まっていますし、GNDがきちんと分離されているかも怪しい印象もあるのでシンプルに付属のケーブルで楽しむ程度のほうが良いかも。

    唯一欠点を挙げるとすれば、すでに多くのユーザーさんも挙げていらっしゃいますがケースが少し大柄なことでしょうか。
    せっかく折り畳めてもケースが丸形ですし、ヘッドホンの側もイヤーユニット部分を横に倒すことができないので持ち歩く方にはあまりコンパクトに感じられないかもしれません。

    さすがにそろそろ(耳の数に対して)飽和状態ですが、それぞれのヘッドホンの良さを活かして楽しみたいと思います。

    Filed under: Audio
    2022/06/03 1:00 pm | SENNHEISER MOMENTUM 3 Wireless はコメントを受け付けていません
  • 285月

    KRELLのパワーアンプ「KSA-100」のヒューズ交換は以前にもやりましたが、スピーカー側のヒューズもISOCLEANにしてみました。

    KSA-100は保護回路がほぼ完全に省略されている代わりに全てをヒューズで賄っています。
    内部の電解コンデンサ周りにもたしか4本あって、これは定格を確認できていませんが、外から交換できる電源部分が12A、スピーカーが6Aのファーストブロー指定です。

    躊躇していたのはISOCLEANがスローブローだからでして、保護回路のないKSA-100では速断を使うべきなんですよね。
    今回は完全なる自己責任のもとに4Aのスローブローを装着しました。

    ISOCLEANには信号の向きを示す表記もあるので、一応内部配線を見て合わせました。
    それよりも通常は50Hzなり60Hzのみを扱う想定のヒューズに音楽信号が流れるわけですから、周波数特性や抵抗値のほうが重要かもしれませんけど。
    ちなみに以前は一旦、セラミック管にしていましたが、少し中高域がうるさい印象もあったので、Littelのガラス管にしてありました。

    今回の変更でいちばん感じたのは透明感が違うというところでしょう。
    録音時の背景ノイズが明瞭に聴き取れるほどで、高域もしっかり出ていながら喧しさが感じられません。
    なにせ本来ならスピーカーケーブルを通るはずの部分を真っ先にヒューズの中を通すわけですから、電源系よりも効くのは明らかでしょう。
    いっそのこと、MOS FETリレーを自作ちゃうなんてのも考えてみましたけど、そう簡単にはできないですからねぇ。
    なお繰り返しになりますが、本来は火災なども含めた安全性のためにも定格をしっかり守るべきものですので、気楽に交換することはオススメできない点はご承知おきください。

    Filed under: Audio
    2022/05/28 3:30 pm | KRELL KSA-100のスピーカー側ヒューズ交換 はコメントを受け付けていません
  • 145月

    Wadia 23は外からかんたんにヒューズが交換できる構造になっていますし、KRELLのパワーアンプ同様にヒューズに交換してみることにしました。

    31.8mmの1A、スローブローが使われていますので、あまり迷いなく選ぶことができました。
    候補としてはかろうじて出回っているFURUTECHや海外等で購入可能なSynergistic Researchの製品も多少は考えましたが、電源投入から安定するのが早くてクセが少ないという定評からやっぱり今回もISOCLEANに。

    交換してまず感じたのは艶が出て細部の描写が丁寧になったところでしょうか。
    Wadiaがジャズ向きと言われる一因でもあるある種の無骨さはやや薄まった感もありますけど、澄んだ印象でまとまるのでいろんなジャンルを聴く私としては好都合です。

    そもそも交換時に接点クリーニングもしますし、ISOCLEANもそれを想定してか簡単なクリーニング用クロスも付属しているので、そうしたお掃除効果も大きいのかも。
    古い機材だと内部部品同様、ヒューズもだいぶ年代物になっていますし、場合によっては単純な交換でも効果はあるのではないでしょうか。
    国内メーカーはたいてい内部にありますし、場合によっては基板上にヒューズ抵抗として取り付けられているケースも多いですから、そういう製品の交換にはかなり気力と勇気が必要です。
    保証のことも考えるとやはり外部から簡単に交換可能な機材に限定したほうが良いのかもしれません。(それですら自己責任で定格を守るのが大原則ですけれど。

    Filed under: Audio
    2022/05/14 2:30 pm | 2 Comments
  • 304月

    WadiaのCDプレーヤー「Wadia 23」を導入しました。

    当初はいにしえの名機系のD/Aコンバーターを追加してみようかと思っていたのですが不具合があって返品になり、トランスポートも音への影響は大きいだろうなぁというところからコレが候補になりました。
    WadiaというとVRDS搭載のものが有名ですが、これはPioneer PEA1030を使ったターンテーブル方式のものです。

    1995年発売ということで時代としてもお値段としてもワディア全盛のものとは多少違いますし、16倍オーバーサンプリングも控えめです。
    ただしっかりDSPを搭載しています。
    ちなみにDACチップはAD1865N、RCA側はバッファにOPA606KPを使っているようです。

    天板の前側がなぜか落ち込んだようになっていたので開腹してみようと思ったのですが、特殊ネジな上に背面のネジも外さないと開けられない構造のようなので、とりあえず天板だけ治せたので開けるのはやめておきました。
    ラックにはこれまでDCD-S10IIが入っていたところに置き換える形とするので、高さが大丈夫かなぁと思ったのですが幅が350mmしかなく見た目より高さもない(143mm)なので全く大丈夫でした。

    そういえば色もWadiaといえばブラックのイメージがありますけど、今回のものはシルバーで限定モデルだったようです。
    底面にシリアルナンバーや代理店のシールなどもあり、スパイクも付属していたので一応それを装着しました。

    まずは聴き慣れたディスクから聴いてみますと、一聴から全くこれまでのプレーヤーと違う感触です。
    音の傾向自体も違うんだと思いますけど、それ以上に鮮度が高く、音の周りにまとわりつくモヤみたいなものが皆無という印象を受けました。
    DSPによるアップサンプリング、FPGAによる移動平均フィルタというと、画像系の知識からすれば「ボヤける」という印象があったのですが、そういうところは一切感じられません。
    むしろアンシャープマスクでも掛かったかのような感覚で、これまた画像系で喩えるならば言えばローパスフィルタレスのデジタル一眼のような感覚です。

    CD発売当時に感じた感動のようなものと同じ方向性の感覚を再度味わっている印象もあるので、その後のプレーヤーが滑らかに繋ぐことを優先させ過ぎているのかな?
    実質的にアナログフィルタがないというのも標本化定理からすればあまり推奨できるものではない気がしていましたが、現実の出音はそうした机上の理論を超えてくるものがあります。

    電源スイッチは背面にあるあたり、海外モデルらしいところです。
    使ってみた印象としては、そこまでウォームアップの必要性はなさそうな感じはしています。
    もちろん本領発揮にはウォームアップしたほうが良いのは間違いないですけどね。
    低域の制動も良く、本体にスイッチが用意されている位相反転の違いも明瞭に聴き分けることができるほど、曖昧さのないサウンドです。

    DP-77もあるので、当初はKRELL PAM-3ではAUXにつないでいましたが、この感じだとSACD以外はもう全部こっちで聴くことになるだろうなと、専用バッファのあるCD入力のほうに入れ替えました。
    RCAケーブルもACOUSTIC REVIVE RCA-absolute FM、単線電源ケーブルとし、さらに透明度を増して繊細さな描写も手に入れました。

    今回は導入編的な内容なので、次回以降も徐々に取り上げたいと思いますが、全体としてタイムドメイン的な考え方がキチンとしているように感じられました。
    また、初期のWadiaほど技術的側面に偏り過ぎずウェルバランスで、ジャンルも選ばず聴けるモデルのように感じています。
    ここまでいろんなDACやCDプレーヤーを使ってみましたけど、ようやく目指していた方向性の製品に出会えたような気がしています。

    Filed under: Audio
    2022/04/30 4:00 pm | Wadia 23 はコメントを受け付けていません
  • 244月

    PanasonicのOA電源タップ「WCH44129」を導入してみました。

    オーディオ周りはACOUSTIC REVIVEのRTP-4 absoluteを使っているのですが、KRELLのプリアンプ「PAM-3」に電源スイッチがないのでタップ側でオン・オフできるものを調達して試したいなと。
    個別スイッチのものは結構たくさんありますが、2PだったりUSB端子付き、回転できる構造のものなどが多く、音質的にもそこそこ悪くなさそうなもの…という最低限の品質のものがあまりないのが実情です。

    その点、今回のPanasonicのものは汎用のコンセントやスイッチを使ってあり、いざとなれば改造も可能なのが良いところです。
    電源スイッチのランプは不要な気もしますけど、実際に使ってみるとオンの状態が分かりやすいので便利ではあります。

    内部も開けることができ、コンセントは枠がないタイプなのでどれでも流用できるとはいきませんけど、ランプは配線を1本抜くだけで消すことも可能です。
    ちなみにスイッチは3線式片切スイッチが使われていて、内部配線は単線です。

    また底にはマグネットが付いていますけど、取り外し可能と配慮が行き届いています。

    配線は渡り配線ですし、部材はごくごく普通のものですが、音は素直で十分使えるレベルです。
    PAM-3は115V仕様ですから、それまではCSEのステップアップトランスを通していましたが、むしろそちらのほうがややクセがあると感じるくらいです。

    オーディオ用途だけでなく、省エネ用に普通の電源タップとして使うのも良いでしょう。
    お値段は普通の電源タップとしてはやや高めですけれど選択肢はあまり多くないですし、Panasonicの他のモデルはすでに製造終了しているようなので、欲しい方は早めに入手しておいたほうが良いかもしれません。

    Filed under: Audio
    2022/04/24 12:30 pm | Panasonic WCH44129 はコメントを受け付けていません