• 164月

    KRELLのプリアンプ「PAM-3」も導入してだいぶ経ちましたので、ようやく音質にも触れられるかなと。

    まず電源スイッチがないのでウォームアップが必要かどうかにいちばん迷いました。
    ステップアップトランスに電源スイッチがあるので普段はそれでオフにしつつ、数日通電したりと色々試しましたが、さほど気にするほどではないかなという結論に。
    最初の頃は1日通電したら別物のように変わったんですが、どうやらそれはしばらく使われていなかったのと部品交換によるものだったようです。
    その後はたしかに通電しておいたほうが中高域が滑らかになる気はするものの、最低10分くらい経てばほぼ安定しますし、その後も数十分〜数時間程度で十分かな。
    その点でいえばパワーアンプのKSA-100のほうがウォームアップに時間がかかるくらいでして、かと言ってA級アンプをつけっぱなしにはできませんからねぇ。
    一応、PAM-3は部屋に入った時に電源を入れておき、夜に降りる前にオフにする感じで運用しています。
    ちなみに筐体の温度もアンプ本体はほとんど分からないくらいの温度変化で、電源ユニットがほのかに温まる程度です。

    さて肝心の音傾向ですが、思ってたよりもずっと素直で静寂感があります。
    現代的な機器ではないのでスピード感があるタイプではありませんが、リズムに乱れがなく妙な刺激的な部分が皆無なのが気に入っています。
    S/NはC-280Lと比べれば多少、残留ノイズは多めですが、ボリュームを上げても増えるわけではないですし、ツィーターにピッタリ耳をくっつけてやっと差が分かる程度のものです。
    逆にフォノイコのS/Nは思っていたよりもずっと良く、かなりハイレベルだと思っていたC-280Lに勝るとも劣らないもので、そこも素晴らしい感じです。

    C-280Lとのいちばんの違いは音像が揺れたり滲んだりしない点でしょうか。
    音場にも隙間がなく、前後方向の立体感がとても良くなっていて、とにかく平面的になりません。
    これまた現代的なピンポイントの定位とはいきませんが、決してモヤがかかっているようなことはなくブレもありませんから、見通しが良くて安心感があります。

    音楽のジャンルを特に選り好みする感じもなく、クラシックもしっかり鳴らしてくれます。
    とりわけ合奏曲や弦楽四重奏など、ホールの空気感の再現が全く違います。
    女性ボーカルも素晴らしい艶と美しさで、もっと音像が膨らむ傾向なのかと思いきやリアルな雰囲気で、全般に中域がとても濃く、語りかけるようで、このあたりがC-280Lとは相当異なる表現力を感じさせます。

    低域は量感こそC-280Lより少なめに感じるものの、剛性感が圧倒的に高く、パワーアンプでもないのにスピーカーの駆動力が向上したかのような、ゆとりのある鳴り方になります。
    そのおかげか、ベースの胴鳴りまでしっかり伝わってきますし、ギターも奏者の指使いや奏法がとても明瞭に伝わり、ライブ感が高いです。

    電圧もいろいろ試してみましたが、結論からいうと100Vでも動作も音も全く問題ないと思います。
    ステップアップトランスを用いた115V運用も実体感と力強さでは良い部分もありますが、透明感や生々しさの点ではむしろRTP-4 absoluteから直接取るのがいちばん良いくらいです。
    スイッチオフの都合もあるので、そこらへんの加減もありますけどね。
    残留ノイズに関してはDCケーブルがRCAケーブルなどに近いとノイズが増える傾向があるので、取り回しは多少配慮が必要そうです。
    別筐体のメリットばかり考えていましたが、DCでも電源系のケーブルの取り回しはやっぱり重要なんですね。

    あとは空いたRCA部にリアリティエンハンサーを挿したくらいでしょうか。
    場の雰囲気がより再現されるようになり、現代的な緻密さも兼ね備えてきてくれました。
    それなりにいろんな機材をつないだので、実際にはPRE OUTとTAPE入力くらいしか空かなかったですけど。

    これでアンプからひとまずAccuphaseが排除された形になりました。
    今でも信頼性は優秀だと思っていますし、夏場は特にパワーアンプを入れ替えるかもしれませんが、どうやらこの路線でしばらく進めていけそうです。
    なにぶん古い機種ですし、現行のKRELLはかなり音傾向が異なるはずので参考にはならないでしょうけれども、個人的にはかなり満足度の高いリプレースだったなと思っています。

    Filed under: Audio
    2022/04/16 3:00 pm | KRELL PAM-3 レビュー 音質編 はコメントを受け付けていません
  • 084月

    CSEのステップアップトランス「ST-1000」を入手しました。

    なぜかあまり情報がありませんが、ヨドバシを見ると2011年くらいに発売されたもののようです。
    PSE絡みで掲載してないのかとも思いましたけど、背面にはちゃんとPSEマークも入ってるんですよねぇ。

    ステップアップトランスというといかにもトランス!という無骨なものが多い印象ですが、これは普通のコンポのような形状に仕上げてあります。
    定格は115V/1000Wとパワーアンプでもつなげそうな感じの規模です。
    すでにメーカー自体がありませんから、中身も見てみることに。

    コイルの外側に鉄芯を巻く特殊なWBトランスを使ってあるそうで、これのおかげで高さが抑えられています。
    若干の唸りがありますが、底面のグロメットがややヘタっていそうだったのでワッシャーを追加して軽減させました。
    天面には元々なのか制振シートが貼ってありましたが、こちらもやや剥がれかかっていたので補修しておきました。

    ソフトスタート搭載ということですが、これはオムロンのパワーリレーを使ってあるのみです。
    ゼロクロススイッチだともっと嬉しいところなんですけどね。

    背面の壁コンセントはホスピタルグレードコンセントにロジウムメッキを施したものだそうですが、質感はまあまあかな。
    内部配線は単線と銀撚り線(?)を併用してあるようです。

    聴いてみた感じ、115Vのメリットはそこまで強くなく、ややゴワッとした感じもしましたので、思い切ってACOUSTIC REVIVE特注の通称赤コンセントに交換してしまいました。

    こちらのほうにPAM-3をつなぐとだいぶ透明感が出て、115Vの力強さもあるのでステップアップトランスを通す価値も多少ありそうかも。
    ただRTP-4 absoluteに直接PAM-3の電源ユニットを接続したほうが透明感や歪みの少ない印象は強いので、外すかどうか迷うところです。
    いずれにしても115Vでも100VでもPAM-3の電源ユニットからはDC±28Vが出力されるはずで、さらにアンプ側内部では安定化電源回路を通って18Vだかにされてますから、そこまで電圧による差はなく、むしろ電源ユニットの耐久性の点では100Vのほうが優位くらいかもしれません。

    唯一のメリットは全面のスイッチでオフにできるところで、そこもPAM-3を常時通電すべきかどうかにかかっているかな。
    現状は他に115Vのほうが良い機種もないですが、持っていて便利な品ではあると思いますし、ひとまずPAM-3のウォームアップによる変化の度合いを観察しつつ決めていこうと思います。

    Filed under: Audio
    2022/04/08 3:00 pm | CSE ST-1000 はコメントを受け付けていません
  • 303月

    先日のKSA-100につづいて、KRELLのプリアンプ「PAM-3」を入手しました。

    10年くらい前に再開したオーディオですが、Accuphase主体に乗り換えてから音楽自体はあまり楽しくない状態が続いていて、少しそこから脱却したいなというのもありました。
    アキュフェーズの故障の少なさやメーカーサポートの良さは古い機種を愛用する者にはとてもありがたいのですが、それも少しずつ変化してきている印象があります。
    そもそも音楽を楽しめないと意味がありませんし、手持ちのものを所有しておけば他のブランドにも冒険しやすいですし。

    てなわけで少し前からKRELLのプリアンプを狙っていて当初はKSLあたりを考えていましたけど、だんだん欲が出てきまして、「フォノイコライザーがあったほうが良いなぁ」とか「どうせなら電源分離型が良いなぁ」となりまして、それで選んだのがPAM-3というわけです。
    PAM-3は1984年発売でクレル第一世代のくくりで良いと思います。
    MCにも対応したフォノイコライザーを装備していますし、電源ユニットも左右分離型の3筐体です。
    CD入力にもかなり凝ったカスタマイズ可能な高域の位相補正が備わっていたり、当時の事情がいろいろ盛り込まれている印象です。

    フォノイコとCD位相(とモノラルモード)は中のDIPスイッチで切り替えるのがやや面倒ですが、届いたらすぐに開腹して確認したところ、デフォルトのMC/負荷インピーダンス:100Ω、CDはスルーに設定されていました。
    なお蓋を開けるにはヘクスローブのドライバーが必要となります。
    各所メンテナンス済みで、コンデンサはVishayを主体にかなりの数が交換されています。
    それ以前にもメンテされているみたいで、定期的なメンテナンスは必要な機種といえるでしょう。

    KSA-100同様、PAM-3もかなりロット違いがありまして、今回のは1500番台で電源ユニットがデンマークのUlveco製トロイダルトランス搭載、KRELL特製のメタルキャン装備のものでした。
    ちなみに内部では逆さまに装着されていて、部品類は宙吊り状態になっています。
    またヒューズはハンダ付けされていたので交換せずにそのままにしてあります。

    ボリュームは国内に入ってきたものの一部はスペクトロールが搭載されているものもあるらしいですけど、今回のはPenny&Gilesです。
    P&Gというとフェーダーが有名ですが、導電性プラスチックを用いたものでやや重さはあるものの、精度の高いボリュームでなかなか良い感触です。

    背面はシンプルにRCAのみで統一されていますが、内部回路は左右独立、バランス構成に近いものなのは面白い作りです。
    配線の引き回しも最小限で、±28Vで電源ユニットから供給されたDCを本体側で18V安定化して各部に供給しているみたいで、この辺も国産ブランドとはだいぶ思想が異なりますね。
    プラグはTiffanyのものが採用されていて、プラグ自体は筐体とは導通されず、コールド側もGNDとは切り離された形なのも面白いです。
    なおシャーシには10Ωの抵抗が挟んであり、グランドリフト状態になっているそうです。

    あと、電源スイッチはありませんので、基本的には常時通電となります。
    ただ今回のものは115V仕様らしく、そのためのステップアップトランスも同時に入手しましたが、そちらはまた別の機会にご紹介します。
    100Vでの動作も試しましたが、特に問題なく動作はしてくれるようです。

    音質面や運用、ステップアップトランスなど、まだまだ書きたいことがたくさんありますので、今回は到着編ということにしておきましょう。
    すでにSNSではいろいろ書いていますけど、せっかくなので何度かに分けてご紹介できたらと思っています。(ニーズ無視)

    Filed under: Audio
    2022/03/30 1:00 pm | KRELL PAM-3 レビュー 到着編 はコメントを受け付けていません
  • 213月

    静科の調音パネル「B-500-2」を2枚追加してみました。

    うちにはすでにACOUSTIC REVIVEのRWL-3、WS-1、クラレのFパネ、ミュートパネルやしっくいボード、DAIKENなどいろんな調音材があるのですが、そこはまあ実験ということで。
    ひとつにはKRELLのパワーアンプのファンノイズを低減できないかというのもありました。
    ただ実際にはなかなか難しく、アンプ天板に載せても1dB下がる程度でFパネと大差がない感じでした。
    上面からの吸気なので排気側の下部で対策しないとダメなのかもしれません。

    そこで本来の目的に近い形で、まずはスピーカー側壁下に置いてみました。
    音場のモヤモヤ感が減ってスッキリしたサウンドになり、セパレーションが良くなりました。
    次に左右のRWL-3と中央の隙間の下に配置するとここもなかなか良くて、音の広がりは損なわず、音の濁りが減る印象です。
    さらにもう少し外側の左右スピーカーの真後ろ辺りにも置いてみましたが、ここだとセンター中抜けっぽさが出る感じで、さきほどの隙間のほうが良さそうです。

    そこでスピーカー側面の少し前寄りに置くことに。
    ここは事前にFパネで変化が大きいのは確認してあった場所ですが、Fパネでは中低域までは吸音しきれないので今回のボードのほうが効果が高いかなと推測していたんです。
    変化はやはりかなり大きく、音が前に出て全体に元気が良い感じになります。
    低域はやや強めになる印象はありますが、Fパネを置いた時よりは音階はハッキリしています。

    ほかにも側壁なども試しましたが、やや詰まったような音色になり、逆相的な感覚が少し出てしまいました。
    50cm角とそこそこ大きめなボードではありますが、壁を全てカバーできるわけではないので反射と吸音が混じったからではないかと予想されます。
    また重さも1枚2kgほどあるので、壁に貼り付けるのはやや無理があるでしょう。

    結果的にはFパネのほうをRWL-3の隙間に置き、スピーカー側面に静科が現状のベストと判断しました。
    空間の広がりを確保しつつ透明感が向上し、楽器の分離も良くなって低域の音階も明瞭になった気がします。
    まだ入れ替えたりはするかもしれませんが、大きさ的には試行錯誤がやりやすいサイズですし、今後も重宝しそうです。

    Filed under: Audio
    2022/03/21 3:30 pm | SHIZUKA B-500-2 はコメントを受け付けていません
  • 133月

    ACOUSTIC REVIVEの長尺カスタムRCAケーブル「RCA-3.1 TripleC」を他の手持ちの長尺ケーブルと比べてみました。

    比較対象となったのはCHORD COBRA VEE3とWestern Electricを使ったものです。

    いつもなら言葉で伝えようと頑張ってみるのですが、今回はやや趣向を変えて再生時の周波数特性(といっても簡易で傾向を捉える程度とお考えください)や実際の出音を録音したもので比較していきます。

    まずはACOUSTIC REVIVE使用時の周波数特性から。

    次にWestern Electricを。

    ACOUSTIC REVIVEと比べると高域がだいぶ落ちているようです。
    実際に聴いた印象だと逆に高域側がキツく感じることが多いのですが、2.5kHzくらいのかなり低いところに強調感があるからでしょうか。

    そしてCHORD。

    周波数特性ではこちらも若干高域が落ちている気がしますので、そこはやはり長尺であることも影響しているのでしょう。
    こっちも聴いた感じ、やはりややナローながら、それを補うように中低域で厚みが出してあるように感じられました。

    次に実際の再生音での比較です。

    それぞれのケーブル再生部分にはチャプターで飛べるようにしてありますので、YouTube側でご覧いただいたほうが比較しやすいかもしれません。
    パソコンですとGoogle Chrome系のほうが音声コーデックが良いので、そちらでの比較をオススメします。

    いちばん違いが分かりやすいのはやはりWestern Electricでしょうか。
    同じ単線やシルクを使ったものでもずいぶん違うことがわかります。
    せっかくポエム的表現を最小限にしているので個人的な主観は極力控えますが、他の2本のケーブルは音楽性を持たせようとしつつも、実際の楽曲の生々しさが置き去り気味で、楽器や録音されたホールの質感が損なわれているように私には感じられました。

    もっとちゃんとした計測をしたら…とか、やっぱり「ケーブルで音は変わらない」というご意見もお有りかと思いますが、個人的にはやや客観的に比較できましたし、良い経験になったなと思っています。

    Filed under: Audio
    2022/03/13 3:00 pm | ACOUSTIC REVIVE RCA-3.1 TripleC レビュー 比較編 はコメントを受け付けていません
  • 103月

    以前リビングの棚を作る時に買ったコンパネが余っていたので、ふと思い立ってスピーカー横の壁に立ててみました。
    その前に壁を触っていて隣の部屋との間の壁が弱いなぁと感じたから、というのもあります。
    隣の部屋側はクローゼットになっているので間の隙間や木材も最小限にされていて石膏ボードが響いているのかもしれません。
    コンパネを立てただけでも低域の濁りが解消し、以前から気になっていた低域が漏れて抜けていたような感じが減りました。

    思った以上に効果がありそうだったので、これまた残っていた「しっくいパテ」をコンパネに塗ってみることに。
    以前は小さめのMDFに塗ったので簡単でしたが、コンパネはさすがに大きくてかなり手間取りました。
    残りを塗ったので一度塗りが精一杯でしたし。

    見た目はややイマイチですけどコンパネそのままよりは目立たなくなったでしょう。
    音質面では不思議と塗る前のほうが素直だったような印象もあって、そこはコンパネだと表面から適度に吸音もされるからでしょうか。
    しっくいを塗るとウェットな雰囲気にはなりますが、少し色も乗る印象があります。

    試しに簡易的に同じ楽曲でスペクトルをしっくいを塗ったコンパネの有無を比べてみましたが、とりたてて差はないようです。
    9kHzから上くらいでやや変化があるようにも見えなくはないですけれど。

    それでも低域の漏れを減少させる効果はありますし、全体としてはFパネの配置を変更して中音域の吸音をやや増やしてバランスを取りました。
    それはそれで全体的にデッド気味になりがちなのでバランス取りがやや難しいところです。
    まぁ、いざとなれば表裏を置き換えれば普通のコンパネになるからそこは心配ないんですけどね。
    以前作ったMDFは小さすぎるかなと思っていましたけど、位置を気軽に調整できる点ではかえって良かったとも言えそうですし、材料代も安いですから自作するならそちらをオススメします。

    Filed under: Audio
    2022/03/10 2:00 pm | コンパネでしっくいパネル はコメントを受け付けていません