• 261月

    Stetzer Electricの電源フィルタ「STETZERiZER」を導入してみました。

    良くあるコンセントに挿して高周波ノイズを取り除くタイプのアイテムですが、オーディオ界隈ではあまり知名度がないように思います。
    有名なのは最近だとGreenwaveで、かなりアレに近い内容ですし、メーカー側もライバル的存在として意識している雰囲気です。
    異なるのは本体にはメスのコンセントはなく、今回の入手品はアースのない、いわゆる2Pタイプです。
    Greenwaveにも2Pがありますが、こちらは3Pタイプは存在しないようです。
    平均的な家庭で20個くらいのSTETZERiZERが必要なんて書かれていますけど、今回はあくまでお試しですから1個だけです。

    EMI Meterでまずちゃんと機能しているか確認してみました。

    電源が入っている機材や日によって数値は変わりますが、Greenwaveが装着してあるパソコン周りで130mVくらい、Greenwaveを外して320mVくらいの状態で、Greenwaveの代わりにSTETZERiZERを装着してみたところ、163mVを示しました。
    ちなみにEMI Meterの計測範囲は10kHz〜10MHzとされていて、STETZERiZERが出している計測器のSTETZERiZER Microsurge Meterは120kHzまでくらいが対象らしいですから、Greenwaveよりは低めの帯域を想定しているっぽいです。
    ちょっと調べた感じだと、実際にはGreenwaveよりも高周波まで取り除けているらしく、20MHzくらいまで効果があるらしいというのを見かけました。

    欲張って両方ともパソコン側に装着してみたところ、70mVほどになり、相乗効果は一応ありそうです。
    取り付け場所としてはノイズ源に近いところが基本でしょうから、パソコン周りや別室、トイレやサブシステム周りが候補です。
    数値が下がるのと音質面で好意的な結果が出るのはまた異なるので、なかなか場所選びは難しいんですけどね。

    まずはオーディオに近い位置ということでサブシステム周りの電源タップに装着してみます。
    メインシステムの残留ノイズが減って、EMI Meterの数値としても下がっています。
    音は穏やかさが増して、とりわけDACで顕著な効果があるようです。
    機器そのもののノイズも上手く軽減してくれそうですし、Greenwaveと比べればあまりマイナスの傾向が出づらい印象です。
    ただ透明感が向上したものの、やはり少し躍動感が奪われてドライになる傾向は感じられます。

    続いてよりメインシステム寄りにアンプ側の電源タップに挿してみます。
    こちらも数値としては下がりますが、響きがなくなってドライになってしまう傾向がさらに強まります。
    外すとウェットになり実在感が出てきますので、ここはやりすぎでしょう。
    逆に別室にも付けてみましたが、これだと効果がほとんど実感できませんでした。

    それではと、Greenwaveをよりパソコンに近い場所に配置し、STETZERiZERはサブシステムに戻しました。
    これで躍動感と静寂性はだいぶバランスが取れましたが、レコードやDP-77などではやはり少しドライさが出てきます。
    ここからああでもないこうでもない、としばらくやっていたのですが、結果的にはルームアコースティックのほうでやや前面ライブ寄りに調整して、透明感が高く団子になりづらいサブシステムへの配置で一応確定させました。

    GreenwaveよりEMI Meterの数値的には効果が少ないものの、音への影響が少ない印象ですし、2Pだと家庭用コンセントにも挿しやすいですから結構オススメできるかも。
    ちなみにどちらもそうですが、装着時になぜかバチッとノイズが出る(おそらくコンデンサの放充電)ことがあるので、そこはやや注意が必要かもしれません。

    Filed under: Audio
    2022/01/26 4:00 pm | STETZERiZER はコメントを受け付けていません
  • 241月

    KRELLのパワーアンプ「KSA-100」のヒューズをいろいろ交換し終えたところで、ES9018 DUAL MONO DACのヒューズも交換しておくことに。
    こちらも音質云々以前に10A/250VAという大きすぎるヒューズなのを見直したいというのが主体なんですけどね。

    内部にはヒューズはなく、IECインレットにヒューズホルダーが内蔵されているタイプです。
    音質的にはインレットを交換したほうが効果は大きいかもしれませんが、ヒューズホルダー内蔵の上質なものはほぼ見当たらないですからねぇ。

    DACの消費電力はたしか10Wそこそこくらいだったはずですので、1Aもあれば十分なはずですが、10Aよりマシなら良かろうとLittelfuseのセラミック管、スローブロータイプを選びました。
    これも納期が短くて入手できるところが少なく、5個入りをモノタロウで購入しました。
    薄いプチプチ付きの封筒に入ってそのまま届いたので、ちょっと危うい感じでしたけどね。

    交換して聴いてみますが、当初は正直変化はあまり大きくはありませんでした。
    やや上品になった印象と静けさが感じられる気はしますし、細部の空気感はこれまでより精度高く聴き取れるようになったかも。
    徐々に馴染んできたのか、底上げ感のようなものが出てきて、細部の描写が正確になり、低域のモタつきが減りました。
    ただ、KRELL側のISOCLEANが馴染んできた影響もあるでしょうし、明確にそれと切り分けできるほどではありません。

    それでも、下支えとしては上流の改善が役立っているはずで、細かく聞き取っていくと奏者の息遣いやホールの残響などはより細やかに描写されるようになったと思います。
    オーディオ用のものではないですし、あくまでも本来のヒューズの用途にそこそこ沿ったチョイスですが、簡単に交換できる機器ならやってみる価値は十分にありそうです。
    国産メーカーを主体に自分で交換すると保証が効かなくなるところも多いと思いますので、そこはあくまでも自己責任で実施をする必要はありますけどね。

    Filed under: Audio
    2022/01/24 4:30 pm | DACのヒューズ交換 はコメントを受け付けていません
  • 201月

    定格に極力合わせたフューズに交換したクレルのパワーアンプ「KSA-100」ですが、電源系ならスローブローでもそこそこいけるのでは?という目論見でオーディオ用ヒューズとして定番の「ISOCLEAN POWER FUSE」を入れてみました。

    電源系は12Aのファーストブローですが、これで切れるような状態だとブレーカーも落ちそうですし、定格の7〜8割くらいのにすればほぼ問題ないのかもしれません。
    今回はやや冒険気味(あくまで自己責任になります)に12Aのものを選びました。
    ちなみに同じISOCLEANでも15Aだけはセラミックですし、お値段も12Aから高くなっているお店が多いようです。

    通常のヒューズと微妙に違うのは内部の胴体の中心部になにやら紙or糸のようなものが入っています。
    物によっては外周を小さな石などで埋めたものもあるらしいですね。
    以前はFURUTECHからもセラミックのものが出ていましたが、今は3AGタイプが一部の店舗に残っている程度です。

    クリーニングクロスが付属していたり、ヒューズに方向性の表記があるあたりがオーディオ用っぽいところです。
    方向性については回路構成や配線が分からないと決められないような気もしますが、クレルはヒューズホルダーの奥側がインレットと接続されていたので、そちらを上流とみなして装着しました。

    しばらくエージングが必要だろうと思いますが、まず第一印象は「穏やか」というものでした。
    それまでのBel Fuseのセラミックと比べてキツさがなく滑らかで強調感が少なめです。
    Bel FuseのほうはISOCLEANと比べるとややゴツゴツした感覚がありました。

    また、空間表現の精度が上がっていて、音量が小さめでも細部が潰れにくいようです。
    それだけ細部の描写が良くなったのかもしれません。
    フルートなど金管楽器の音色がとても自然になったのも印象的でした。

    音傾向自体の変化の度合いとしては、やはりスピーカー側のほうが大きいように感じられるのはまあ当然といえば当然でしょう。
    さすがにスピーカー系にスローブローを入れるのは厳しい(APOCを解除してなかったらやったかも)ので、アンプのヒューズ変更はこのくらいかな。
    それでも電源アクセサリの見直し程度かそれ以上には影響はありそうですし、妙なクセも感じられないので試してみる価値はあるでしょう。
    メーカーによっては保証対象外になる可能性も高いですし、定格を外れた場合、火災の原因になることも考えられますので、あくまで自己責任での実施をお願いします。

    Filed under: Audio
    2022/01/20 3:00 pm | ISOCLEAN POWER FUSE はコメントを受け付けていません
  • 151月

    クレルのパワーアンプ「KSA-100」は保護回路がない分、ヒューズが多用されています。
    背面だけでも電源部1つ、スピーカー端子直前に入ったものが2つで、特に信号系に直接挿入されているのはやや珍しいですし、音への影響も電源系の比ではなさそうです。

    定格は背面パネルに記載のとおり、電源系が12A、スピーカー側が6Aのファーストブローです。
    ファーストブローだというのは説明書に少しだけ記載がありました。
    しかし実際に実機に装着されていたのはスピーカーがBel FuseのRS Online流通品の250V/7A、電源系にいたってはBussmanのデュアルエレメントの32V/15A、しかもスローブローという状況でして、音質以前にちゃんとしておいたほうが良いだろうなと。

    海外モデルですから3AG(長さ31.8mm)のヒューズですが、意外とどこでも売っているというわけでもなく、品切れのところも多いので調達はわりと苦労しました。
    結果的には以下の4種類をマルツオンラインで注文しました。

    [ 電源系 ]
    Bel Fuse 3AB 12-R (CERAMIC 12A 250VAC)

    [ スピーカー系 ]
    Schurter 8020.5076 (CERAMIC 6.3A 500VAC)
    Littelfuse 0312006.VXP (GLASS 6A 250VAC)
    Bel Fuse 3AG 7-R (GLASS 7A 250VAC)

    セラミックはどうしても耐圧が高めになってしまいがちで在庫ありのものから選んだので思ったとおりとはいきませんでしたが、どれもファーストブローをチョイスしておいたので、現状のままよりは安全でしょう。
    とりあえず電源をBel Fuseのセラミックに、スピーカー側をSchurterのセラミックにしてみました。

    一聴して中域の透明感が上がって、予想以上の変化です。
    特性として捉えるとおそらく高域が伸びたのでしょうけれども、キツさは全くありません。
    雰囲気としては良質のYラグに交換した時のような変化の仕方なのはスピーカー側に直結で入っているからでしょうか。
    全域に渡ってクセが減ったので、さらに聴きやすくなりました。
    アンプが温まってきてヒューズも馴染んでくるとさらに楽器の分離も良くなり、生々しさが高まったような印象を受けますし、空気が澄んだような印象すら感じます。

    通常のオーディオ機器ですとほとんどの場合、スピーカー部にはリレーや保護回路が入っていて、ヒューズが直接挿入されていることはほぼないと思われますので、かなり特殊な事例になるとは思いますが、KSA-100に限っていえば、たとえばDAC等でオペアンプを変更したのと同等かそれ以上くらいに変化がありました。

    KSA-100は電源を切ってもコンデンサに電荷が残っている間はそのまま音が出続けるくらいに保護回路レスですので、電源オフにしてもすぐには交換できないので比較試聴はやりづらいのですが、ひとまず時間をあけてからLittelfuseのガラス管にスピーカー側を交換してみました。

    不思議なのはアンプの電源投入時に高域寄りの「パチっ」というノイズがめっきり減った点です。
    理由は不明なのですけど、音傾向も含めて推察するにややダンピングファクターが下がったのかな?という気もします。
    音はなめらかになった分、歪んだ感じは減った気もしますが、分厚さはやや薄まっています。
    クセは少なくてハープの音色がより自然になったような気もします。
    再生音をスペアナで眺めていると、セラミック管と比べて800Hz前後が少し減って中高域がわずかに伸びた?ような気もします。
    こちらのほうがより素直で扱いやすい印象もありますが、クレルらしさはやや薄まったかな。

    改めてまたSchurterに戻すとやはり力強さが戻ってきます。
    音像も少しタイトになりつつ、音の広がりは良いですし、クレルっぽさがしっかり出るのはこちらかな。
    電源投入時のパチっというノイズはやはり戻っていていて、こちらのほうが信号が通る上で高域の特性が良いのか、それとも抵抗が少ないのか、詳しいことは定かではありませんが、やはりややダンピングファクター低下が少ないような感触はあります。

    実際にはまだ内部の電解コンデンサ周辺に4本ヒューズがあったりするのですが、そちらは定格の記載が見当たりませんし、そもそも後期ロットではヒューズ自体がなくなっているようです。
    ひとまずこれで定格に近いものに交換できましたが、もうちょっと別の部分や候補も含めてヒューズ遊びは継続してみたいと思います。

    Filed under: Audio
    2022/01/15 2:00 pm | KRELL KSA-100のヒューズ交換 はコメントを受け付けていません
  • 091月

    DENONのCDプレーヤー「DCD-1650SR」のピックアップを調達して交換してみることにしました。

    DCD-1550ARや1650AR、S10IIなどはSHARPのピックアップでこっちも以前に試しましたが、1650SRはSANYO SF-P101Nの16ピンタイプが使用されています。
    このピックアップはDCD-755/AE/SEやラジカセにも使われていて、ちょっとコストダウンが感じられるものです。

    今のままでもほぼ正常に読み取れますが稀にErr表示が出ますし、早めに調達しておいたほうが良いかなと。
    すでに純正品はなく、互換品をAmazonのマーケットプレイスで購入しましたが、中国から発送されて台湾を経由し、到着まで22日かかりました。
    ピックアップのみではなくセンタースピンドルからモーターまで全部付いたAssyといいますか、もうドライブそのもので格安なのは助かります。

    届いたものはショートランドのハンダ除去が必要でしたが、場合によっては除去済みだったりもするらしいです。
    あとはフラットケーブルと電源ケーブルをつなぎ替えるのみで、実際の交換はネジ外しなどがやや面倒くさいですが微調整などは不要でそのまま交換できました。
    なお、メカはほぼ丸コピーですけど、ピックアップレールの固定方法が元のものとは若干異なり、ネジが片方だけになっています。

    ピックアップのみ交換することも可能なはずですけれど、今回メカごと交換したのは以前、S10IIでピックアップのみ交換しても全然治らず苦戦した時にセンタースピンドルの歪みなど、ドライブ側の問題のことも多いのを痛感していたからです。
    今回のケースも元のメカではスピンドルの一部にサビが出ていました。
    ちなみに元々付いていたのはおそらくオリジナルのものであろうと推測されます。

    交換後はあっさり動作し、ゴミが付いたディスクでもDCD-S10IIなどのSHARPピックアップと比べるとややリードが遅いものの、エラーが発生することはなくなりました。
    音質的には正直良くわからないですが、たぶんほとんど変化ないと思います。

    これでだいぶピックアップ交換の自信もついてきました。
    SONY製の高級ドライブだと互換品は存在しないのが残念ですが、DP-77はKHM-230AAAでもうメーカー修理は受け付けてくれませんし、いざとなったら自分で交換しようかなと思っています。

    Filed under: Audio
    2022/01/09 2:00 pm | DCD-1650SRのピックアップ交換 はコメントを受け付けていません
  • 071月

    先日、MUSES05 DUOのプレゼントキャンペーンに当選しました。

    日清紡マイクロデバイス(旧、新日本無線)が高音質オーディオデバイス「MUSES」シリーズのフラッグシップとして2月に発売予定の「MUSES05」を2in1に収めたもので、予想以上にかなり大きなサイズ(とタイミングの良い当選)に驚きました。
    ちなみにケースや外箱も豪華ですし、シールまで付いていてスゴいですけど、到着時には内部でオペアンプ本体が転げていたので、ICソケットの添付も含め、販売にあたってはもう少しパッケージを考えたほうが良いのかも。

    ICソケットを付属しておいてもらえるとだいぶ自由度も上がったのですが、残念ながらそのままではDACには装着できません。
    そこでICソケットを調達しまして、1段ほどかさ上げしたところ、周囲のコンデンサを避けて無事に装着できるようになりました。

    このところ色々弄っているES9018 DUAL DACに装着しますが、他は2個使いなので、MUSES05 DUOは差動合成に。
    おそらくRCAのみで効いているはずで、現状はRCAでプリアンプと接続していますから効果が期待できるはずでしょう。

    第一声は穏やかな印象で音像の乱れはなく、中域の骨格がしっかりした印象です。
    MUSE01と似たような方向性への変化で、上品になって余韻の描写が正確です。
    音の合間に静寂感があり、これまでと比べると薄いベールが剥がれたようで見通しが良くなったような感触があります。
    とりわけ女声あたりの表現力が高いのが印象的です。

    低域も音圧だけでなく細かな描写が明瞭になっています。
    当初は特性的なハイフィデリティというよりはオーディオ的な官能性を高めたような印象がありましたが、時間経過とともに特性的な魅力も出てきました。
    とりわけ大編成の楽曲では雄大さや音数の多さ、精度が段違いになっています。

    内部的に1回路だからか、定位の精度が良いのが印象的です。
    実際にはセバレーションが良いことが影響しているのでしょうが、それぞれのMUSES05の誤差が少ないのも効いているのかもしれません。
    ただ、MUSESらしさというのはかなり色濃く入っているので、MUSESの入れ過ぎはバランスを取るのが難しいかもしれず、その点ではI/V変換を別のものに先日変えたのは正解だった気もしています。
    結果的に現状は以下のオペアンプ構成になりました。

    ・I/V変換 : LT1364CN8 (オリジナル:OPA1612)
    ・フィルタ部 : MUSES01 (オリジナル:OPA1612)
    ・差動合成 : MUSES05 DUO (オリジナル: TL072CP)

    市販価格や、そもそもMUSES05 DUOという形での販売があるのか、はまだ良くわからないのですけれど、周辺回路に余裕があったり、当初からこのサイズを想定して設計された機器ではその高いオーディオ的魅力を存分に発揮してくれそうです。
    「MUSES」シリーズは高音質電源ICの開発開始も発表されていますし、オーディオ向きな素子が減っている昨今では期待の星ですね。
    できればそれほど高価にならず、もう少しコンパクトになって市販されると嬉しいなと思います。

    Filed under: Audio
    2022/01/07 3:30 pm | MUSES05 DUO はコメントを受け付けていません