• 1012月

    TakeTのサウンドステージ・アクティベーター「TakeT-SA(u)」なるものを入手してみました。

    簡単にいいますと左右のスピーカー出力のクロストークをほんの少し悪化させて中抜けを防ぐようなものです。
    アンプがアンバランスの場合だとこのモデルで対応できて、左右の+端子をこの機器に接続するだけです。
    BTLの場合にはバランス用のが出ていて、それだと-側も同様に接続する形になっているようです。

    混ぜ合わせ具合はボリュームで調整できて、実際にテスターで計測してみるとオフで無限大、1で1.2MΩくらい、最大で200kΩくらいでした。
    3くらいまでは変化が少なめで、そこから急速に混ぜ合わせられる感じですけど、最大にしたからといってモノラルになってしまうわけではありません。
    メーカーでは1のポジションを推奨しているようですので、それでお試ししてみました。

    音がぐんと前に出てくるのが印象的で、左右差も均等化されるような気がします。
    単純に中抜け防止だけでなく、立体感のある音場再現を謳ってありますが、たしかにそんな雰囲気はあります。
    余韻も自然で音色もこころなしか整ったような気もします。

    試しに5くらいまで上げてみても、セパレーションが悪くなったような印象は薄めで、楽器の音色がより滑らかで艶やかになった気がします。
    調子に乗って11くらいにするとさすがにモノラル的になってきますが、音質面では5の時とあまり変わりません。
    最大の12にしても前述の通り完全にモノラルになるわけではないですが、プリのモノラルモードより自然なセンター寄りの定位になるので、モノラル音源のCDやレコード再生時には有効な手段かも。

    ある程度聴いてからオフにしてみたところ、たしかにステレオならではの広がりというのはそのほうが高まりますし、セッティングをきっちり追い込んでやれば、より高精度に細やかな音場が形成されます。
    ただ音源によって不安定だったり、聴取位置に影響されやすいところがあり、そういう部分を少し鈍らせてくれる効果がサウンドステージ・アクティベーターにはあるような気がします。

    ひとまず2くらいが効果を体感しやすくお試しには良いポイントかなと。
    CD音源がアナログレコード的になるとも言えるでしょう。
    音像の安定感が増し、楽器の音色に厚みが出て響きが豊かに聴こえます。
    ボーカルはオフの時よりも前に出てくれる傾向に変化します。
    後方定位が正解の場合もあるでしょうけれども、やや神経質になりやすい印象は回避できるようです。

    一旦少し長いケーブルにして、手元まで伸ばしてリスポジで可変させてみるのも試しました。
    総合的にバランスが良さそうなのは、1.8くらい、抵抗値にして1.28MΩあたりでしょうか。
    もちろん機材や配置、音源でも変わるでしょうし、アンプにも負担がないとは言えなそうですから、あまり積極的に薦められるアクセサリではないかもしれませんが、発想としてはなかなか面白いアイテムです。

    Filed under: Audio
    2021/12/10 12:00 pm | TakeT Soundstage Activator はコメントを受け付けていません
  • 2811月

    年代的なところもあってDCD-S10IIを上回る部分も感じられるDENONのCDプレーヤー「DCD-1650SR」ですが、1650シリーズのウィークポイントのひとつでもあるインシュレーターを交換してみることに。

    以前もセイシンのを試しましたが、あれはHP-A8にその後装着したので、今回はDCD-1600に装着されたいたらしい焼結合金製のものを調達しました。
    焼結合金をアルミカバーで覆ったもので、1個270gほどあります。

    DCD-1650SRの脚は言うまでもなくプラスチック製ですが、1550ARよりは中が詰まっています。
    なお装着面に突起がありますけど、この位置は完全に互換があります。
    ただ筐体の側の前脚の部分に鉄板の折り曲げ突起があったので、そこは削って装着できるようにしました。

    また、元のネジはM4x10mmなのですが、これでは焼結合金のを固定するには長さが足りませんから、M4x14mmと12mmの2種類のチタンネジを調達しました。
    実物で試した感じだと14mmのほうが元の挿入具合に近かったので、そちらを使用し、インシュレーターの裏側にはテフロンテープを貼っておきました。

    変更後は芯がしっかりして音の純度が増した感じがあり、余韻や静寂感の精度が高まっています。
    今まではなんとなくうわついてボヤける感触があったり、音源によってキンついたりすることも稀にありましたが、それらが解消されています。
    1650シリーズはやはりこうした部分を丁寧に補っていけば、かなりS10シリーズに近づけるのでは?と思えるくらいに音の質感が向上したようです。

    メインシステムに入れているDCD-S10IIとこのところずっと入れ替えて使っていますが、インシュレーター交換前の印象よりもずっとウェットになっています。
    音像は膨らまず、余韻や残響は自然に広がるようになって、DCD-S10IIよりも現代的でありながら、上品さも身に付けたようです。
    ちなみにDCD-S10IIのほうは下のような鋳鉄っぽいもので、こちらはこちらの良さがあるでしょう。

    かなり台数の出たシリーズですので、結構インシュレーターだけでの入手もしやすいと思います。
    ネジを別途用意したり、互換性が完全には保証できなかったりしますが、ちょっとしたグレードアップは楽しめるのではないかと思います。

    Filed under: Audio
    2021/11/28 2:00 pm | DCD-1650SRを焼結合金インシュレーターに はコメントを受け付けていません
  • 2111月

    SHUREのBluetoothヘッドホン「AONIC 50」を導入しました。

    すでに結構な数のヘッドホンがあるのですが、DALIのIO6ブラックの左側が突然鳴らなくなりまして、これが中古購入だったので返品となってしまい、当時最後まで競り合っていたAONIC 50投入を決めた次第です。
    まずは軽く動作確認した後、iPhoneアプリでファームウェア更新から始めました。
    最新のファームウェアは0.7.0で、これからハードウェアEQに対応したのも非常に大きなポイントではありました。

    ヘッドホン本体の重量は結構重い(約334g)ほうで、装着感は良いですけれども長時間つけているとやっぱり多少首が疲れる印象はあります。
    後述しますが音質的にもモニター傾向が強い印象なので、その影響も多少あるかと思います。
    それまで使っていたDALI IO6はかなりリスニング寄りで自然な音色でしたが、それと比べるとAONIC 50はかなり音数も多く、コーデックや音源の質なども明瞭に聞き分けることができます。

    こちらも評判通り、ケースが異様に大きすぎるのはやや難点で、結局使わずにしまってあります。
    ヘッドホン自体にはDALI IO6のケースにも収納できるサイズなので、別に用意したほうが良いでしょう。

    音色としてはやや高域寄りのサウンドバランスで、感覚的にはマルチBAっぽいような音傾向に感じました。
    コーデックや接続方法(アナログやUSB)にもよりますが、AACやaptXなどでは特に中高域から上がやや強めです。
    ノイズ下でも明瞭に聞き取れるようにという思惑もあるのでしょう。
    ハイレゾを意識したようなところもあるのかもしれませんが、音の明瞭度は高く、音数も多くてモニター的なまとめ方です。

    アクティブノイズキャンセリングは最大にするとハードウェアEQが使えないので、ノーマルで使っています。
    ちなみにアプリのShurePlus PlayはiOSとAndroidのみでの提供なので、WindowsやMacで使う頻度が高い場合はあまり頼りすぎないほうが扱いやすいかもしれません。
    また、アクティブノイズキャンセリングを最大にするとイコライジングとは関係なく、だいぶ音傾向が変わる気がしました。
    ホワイトノイズも増えますし、よほどの騒音下で使うのでなければ、音質面ではノーマルのほうが良いと思います。
    ノイズキャンセリングの効きはさすがにApple、SONY、BOSEほどではないものの、それ以外のメーカーのものよりはだいぶ強力なようです。

    LDACにも対応しているのでWalkmanでも試してみました。
    LDACの場合にもハードウェアEQは無効になってしまうのですが、根本的な音質が良いので気になりません。
    AACやaptXで気になった中高域のキツさもあまり感じられず、そのあたりは圧縮なり、内部のDSP補間などでクセが強まっているのかも。
    いずれにせよ、コーデックの差がしっかりモニタリングできるという点でも他のBluetoothヘッドホンとは趣を異にするもので、音作りが強い製品が多い中、異色とも言えそうです。

    メインで接続しているのはWindowsですが、こちらだとaptXで接続されているのがShurePlus Playから確認できました。
    アプリを切り替えたり、音の出どころとなるアプリが切り替わったりすると軽くプチノイズが出ることがあったり、MusicBeeでASAPI接続だと音が途切れるのでDirectSoundにしたりという、軽い問題点はありますが基本的には快適に使えています。

    USB接続もできるのでこっちも試しました。
    これもハードウェアEQは効いてないようで、ややキツさは出てくるものの、高域の情報量が圧倒的に違います。
    USBだとWASAPI排他モードのほうが音質良好ですし、音切れもありません。
    利便性を考えればやっぱりBluetoothですけど、ヘッドホンアンプなしで高音質を楽しみたい場合には良い選択肢と言えるでしょう。
    iPhoneでもいわゆるカメコネ経由なら使えるらしいですが、さすがにちょっと面倒くさいだろうと感じて試していません。
    なお、USB接続で使う場合にはShurePlus Playの設定で電源投入時は充電しない設定にしておいたほうが良いでしょう。

    ハードウェアEQに関しては音質イマイチな動画再生で使うことも多いので、諸々の相性を考えて上記のようなイコライジングを常用しています。
    基本的にパラメトリックなので、普通のグライコに慣れているとやや使いこなしが難しいし、自由度もそこまで高くはありませんが、破綻しない調整が可能なのは良い点だと感じました。

    さらに有線接続とノイズキャンセリングの併用というのもできるようですが、動作確認程度であまり深く使い込んではいません。
    ヘッドホン側が2.5mm4極になっていて、ケーブルを別途用意すればどうやらバランス接続にもできそうですけど、両端が2.5mm4極のヘッドホンケーブルってあんまり出ていないんですよねぇ。

    バッテリーの減りについてはスペック上は最長20時間となっているんですけど、かなり保つなぁという感覚があります。
    5時間くらい点けっぱなしで大抵の間鳴らしていても20%程度減るくらいです。
    パーセント表示も1%単位で細かく分かりやすいですし、Windowsでもちゃんとバッテリー残量が表示されます。
    ヘッドホン単体でも電源ボタン2回押しで音声で確認できますが、こっちは低中高の3段階でパーセントでのアナウンスはされませんけども。

    全体としては音質面でSHUREらしさをしっかり発揮しつつ、ガジェット系ブランドのハイテクさもちゃんと押さえてあって良い仕上がりかと。
    むしろiPhone側がもうちょっと高音質なコーデックに対応してくれればなぁと感じるくらいに、高音質なヘッドホンだと感じた次第です。

    Filed under: Audio
    2021/11/21 2:00 pm | SHURE AONIC 50 はコメントを受け付けていません
  • 0111月

    ゼンハイザーの開放型ヘッドフォン「HD 800 S」が11/1〜11/14の間だけの期間限定・数量限定セールを実施するそうで。

    以前もキャッシュバックキャンペーンなどは何度かあったように記憶してますし、お店側がセールすることはあるでしょうけれど、今回はあくまでもゼンハイザージャパン側の先導での実施とのこと。
    気になるお値段ですが、お店によってそれぞれ異なるものの、限定セール期間中は164,780円前後で販売されるそうです。

    通販各サイトで調べてみた感じだとフジヤエービックさんがお安そうかな。
    ヨドバシもポイント還元があるのでそこそこかと。
    逆にPayPayなどが活用できるはずのヤフーショッピングや楽天などはなぜかeイヤホンなども掲載していないみたいです。

    私はHD800を愛用していますけど、800Sだと中古でもまだまだ結構なお値段ですし、その後に登場したいろんなヘッドホンもトータルのバランスやリセールバリューなどを考慮するとまだまだHD800Sはトップクラスの性能を誇ると思います。
    数量にも限りがあるようですし、以前から狙っていた方はこの機会にどうぞ。

    Filed under: Audio
    2021/11/01 1:30 pm | SENNHEISER HD 800 Sが限定セール はコメントを受け付けていません
  • 3110月

    DENONのCDプレーヤーばかり入手していますが、今回はDCD-1650SRを入手してみました。

    これまでDCD-1550AR、DCD-1650AR、DCD-S10IIと入手してきましたけれども、今回のは2002年といちばん新しく、1650シリーズではCD専用機最後のモデルとなります。
    DCD-S10IIILと同様、デンオンからデノンに変わった後でもありますね。
    その後の1650はSACD機となったのはご存知のとおりかと思います。

    AZ以降はDACチップがPCM1704(それ以前はPCM1702)になりましたが、S10シリーズとは違ってデジタル入力はないのは若干残念なところです。
    また、SRからはピックアップがそれまでのSHARPからSANYO製に変わっていて、ドライブとしての信頼性は正直あまり良いとは言えないようですが、こちらも互換ピックアップはまだ入手しやすそうです。
    実際、使っている間も稀に読まないことがあったり、CD取り出し後の挙動がSACDハイブリッドのドライブに似ていたりする印象があります。
    DCD-755シリーズ辺りと同じメカみたいですし、そこはコストダウンでもあったのでしょう。

    まずはメインシステム側でDCD-S10IIと入れ替えてしばらく使ってみましたが、音は忠実度、高精度さが高まった印象で細部の描写を重視した感じを受けました。
    AL24 Processingに変わったことも影響しているのでしょうが、音作りの方向性もちょっと変わったのでしょう。
    小音量でも上品に美しく描写され、音像もよりシャープになりましたし、以前のDENONで特徴的な中低域もそこまで厚めにならず軽快で爽やかな雰囲気にまとまっていて、近年の機材に近い味付けに感じられました。
    ただ音楽として楽しめる感覚は失われておらず、神経質になり過ぎずに気分良く聴き続けていられるのは魅力的です。

    あと、1650SRからは可変出力がなくなり、ボリュームはヘッドホン専用になりました。
    内部を見る限り、そこまで凝ったヘッドホンアンプではなかったですけれど、HIFIMAN Edition Xで聴いた印象ではわりとしっかり鳴ってくれるなぁという印象です。
    RCA側も可変出力がなくなったことで回路や取り回しもスリムになっているはずです。
    オペアンプなども1650シリーズにしてはわりと新しめのものに変更(たぶんAZから)されていて、そのあたりも音傾向の変化につながっていることでしょう。

    基板のネジを割愛するなどのコストダウン傾向は若干減っているようですが、ドライブカバーのような銅板のネジは減らしてあって、そこらはAZあたりからの傾向みたいです。
    また、今では高価で入手すらしづらいPCM1704を4つも使っていますけれど、上からは見当たらないので裏面実装なのもAZと同じようです。

    次は手持ちのDENON機と比較してみます。
    1650ARは良く言えば穏やかですが、全体に重苦しく鈍重に感じられる傾向で、喩えるならば腰の辺りが太いような感覚があります。
    楽器の音色はふくよかで実在感があるようでもあって、これが好みにハマると他では得られない魅力ではあるのですけどね。
    ALPHA ProcessingからAL24 Processingに進化して、SRではハイレゾ方向への補間のような感触であるのに対して、ARはやや脚色が感じられます。
    特に余韻などの微小な部分をARでは一旦割愛して独自に添加するようなところがあるように思えるのですが、SRではその印象は薄く、もっと素直でハイレゾ寄りにやや高域方向にそうした操作をシフトさせたのかもしれません。
    ARのそれはぴったりハマると至上の満足感があるのだけれど、思いっきり外れることも結構あるので、汎用性はSRのほうが高いでしょう。

    上位モデルとなるDCD-S10IIとも比べてみました。
    S10IIと比べるとやや硬さとドライさが感じられます。
    筐体の弱さからか、先ほどのARとの比較時とは違って中高域に濁りも感じられますし、音の重心もだいぶ高域寄りになる印象がありました。
    ただ、かなり全体としてはクリアで、押し出しはしっかりした元気なサウンドです。
    またフルートやハープの倍音がしっかりと透明感を持って伸びていたり、ヴァイオリンの音色がとても自然で、このあたりはS10IIを含めた以前のモデルだとやや誤魔化されている感があったので、そこは良いところかと。
    ピアノは右手側が少し鼻にかかるようなところがありますが、左手は音階も掴みやすく濁りが少ないです。
    オーケストラなどの大編成になってもごちゃっとならず分離が良いです。
    音色的にAccuphase DP-77に寄った感じはあるものの、ある意味、DCD-S10IIよりSRのほうがメインシステム向きかもしれません。

    そんなAccuphase DP-77とも比べてみましたが、DP-77はよりゴージャスな風合いですけれども方向性は似ているでしょう。
    ヴァイオリンの音色はやや弓の擦れ音が目立つ傾向ですし、ピアノもホールトーンが強めで、むしろDP-77のほうがナチュラルというより色付けされたサウンドだと感じるくらいです。

    1650シリーズはコストパフォーマンスが高めの印象を受けていましたが、SRはより現代的で癖が少なめですから、万人受けしやすそうです。
    空間表現が正確かつ豊かで不用意に付加されるのではなく、本来音源に入っているものを自然に引き出すのもなかなか好印象です。
    ある種の超解像ではあるのですけど、24bitで余裕も出たでしょうし、メーカー側も扱い慣れてきたというのもあるのかもしれません。
    DACもPCM1704投入で変換精度も向上したおかげもあるでしょう。
    デノンになって以降ということもあり、低域側があまりごちゃつかず、豊潤さや煌びやかさは控えめなものの、上品にまとめてあるバランスの良さも好みにハマったのかもしれません。

    「Vivid & Spacious」を謳うのはもっと後年になってからですが、その方向性の変化は感じ取れる気がしましたし、電源部も含めてまだコストを投入できた時代の製品という感触です。
    それだけにドライブ部分の弱さがやや残念なところで、そこを求めるならば評価の高いDCD-S10IIILを狙うべきなのかな。
    ただ、いずれにしてもSHARP製メカになる程度ですし、メカはいずれ寿命が来るものですから、上手く手入れしながら愛用していこうかと思っています。

    Filed under: Audio
    2021/10/31 2:30 pm | DENON DCD-1650SR はコメントを受け付けていません
  • 2510月

    SANSUIのプリメインアンプ「AU-D707G Extra」を追加してみました。

    少し前にAU-D607Fを入れたばかりですし、同じメーカーの歴代モデルを追いかけるような導入が増えています。
    メイン側で大きく替えたいニーズがないので、ついついこういう形になってしまうんでしょう。
    AU-D607Fからすると世代的に2つ新しく、707シリーズということでひとつ上のグレードとなります。
    1983年発売ですから、まさに私がオーディオを始めた当時の「新製品」でもあります。
    この頃は良くカタログを集めていたものです。

    サイドウッドが付いた分、本体自体の幅は狭くなっているようでもありますが、たしかこの頃のモデルはこのサイドウッド自体に基板が固定されていたりしたのではなかったかな?
    D607Fは上部カバー自体が木製ですし、装飾というよりも非磁性体にしたいという思いもあったのかも。

    銅メッキシャーシもなかなか印象的です。
    今回は整備済みのものを導入したので内部を開腹していませんが、山水には珍しくトロイダルトランスを使っているというのも珍しいところです。
    一応DCオフセットだけはスピーカー端子で計測しましたが、電源投入当初で18mVくらいとほぼ問題ないでしょう。
    607でもう慣れましたから調整しても良いですけど当面はそのままで様子見する予定です。

    ちなみにこの機種発売当時の私はLUXMAN使いで、山水だとAU-X11に憧れていた記憶があり、907のほうを気にしていたので707の印象はちょっと薄いです。
    台数としては607が断トツ売れたでしょうし、707は中間的でちょっとマイナーだったかもしれません。

    もうひとつ面白いポイントとしてはMCトランスを内蔵しているというところでしょう。
    907がMCトランス搭載なのは覚えていましたが、707もそうだったのですね。
    ちなみにAU-D707F EXTRAまではヘッドアンプで、707G以降からX DECADEまではMCトランス、そしてα707からはヘッドアンプに戻っています。

    肝心の音ですが、607Fもかなり良い印象でしたけれどもさらに一段と本格的に鳴りが良いなと感じます。
    特にフォノの鳴りっぷりがとても良くて、これはやはりMCトランスも効いているのでしょう。
    ZYX Ultimate 100で試したのもあってか、プリメインアンプのやや簡易的になりがちなヘッドアンプよりはMCトランスのほうが駆動しやすいというのもあるのかもしれません。
    低域の押しもしっかりで芯がありますし、MCトランスで気になりがちな印象のハムノイズも少なくてS/Nがとても良いのが印象的でした。

    CDのほうはフォノほど際立った違いではないものの、DCD-1650AR直とDC-81経由の差がかなり顕著に出るあたり、よりハイファイ寄りになったということなのでしょう。
    トロイダルトランスのせいか、ややサンスイ色は薄めな感じがします。
    スピーカーはKLHですので構成としては当時でも中級クラスですけれど、良い意味で期待を裏切る品位で鳴ってくれます。
    サブと言いつつ、これなら気軽に音楽を楽しむだけでなく、オーディオシステムとしてもなかなか十分な手応えを感じられます。
    こうなると907も多少気になってきますけれども、AU-D907X DECADEは昔持っていたことですし、ひとまず707で満足かなというところです。

    Filed under: Audio
    2021/10/25 2:00 pm | SANSUI AU-D707G Extra はコメントを受け付けていません