• 229月

    HIFIMANのヘッドフォン「Edition X」を追加してみました。

    すでにHE400S、HE400i、HE4XXと所有していたのですが、やっぱり上位モデルがずっと気になっていたのです。
    Edition Xはだいぶ前のモデルで、その後、Edition X V2、ANANDAとモデルチェンジしていったと認識しています。
    なお、V2との違いはイヤーパッドや金属部品による耐久性強化などです。

    HE400i用に以前入手したケーブルがまさにEdition X V2用のケーブルでしたが、ヘッドフォン側の端子が2.5mmだったので3.5mmに変更してもらっていますので、おとなしく付属のケーブルを使います。
    ケーブルはやや折り癖が強めで400Sや400iに付属のものに似ていますし、音傾向や使い勝手ではV2付属のほうが良好な気はします。

    ただその点を除けばやはりEdition Xは圧倒的なもので、良く駆動された平面型スピーカーのサウンドを思い出すものです。
    高域は少しだけキツさが出る場面もありますが中域の艶やかさが魅力ですし、音色は全体的にとても自然で、透明感を最大限保ちつつ、ゆったり聴き込めるウォームさを持ち合わせています。
    振動板が広いからか、装着位置がシビアでないので使いやすいです。

    イヤパッド越しに光にかざすと透けて見えるくらいに薄い振動板で、音量という点だけでいえばDAPでも十分駆動可能です。
    実際にはやはりしっかりしたアンプで鳴らしたほうが、より広大なスケール感を表現できるとは思います。
    音源についても同様で、ハイレゾ音源やSACDの良質な音源では、さらに他のヘッドフォンとの違いが広がるように感じられます。
    帯域というより、きめ細やかさと音色の自然さが違ってくるからでしょう。
    とりわけ、ピアノのアタックが先鋭かつ余計な濁りがなく、音源内のホールトーンまでしっかり再現されているあたりは、やはり平面磁界型の歪みの少なさが活きているのではないかと。

    ただ一部の高級ヘッドフォンにありがちな、全てをさらけ出してしまうモニター的な部分は控えめで、音楽がとても新鮮に感じられて新たな発見があるというのは個人的にとても気に入ったポイントです。
    とにかく楽しい気分で音楽に浸れます。

    HE400iと比較してみますと、HE400iは浮き足立って軽いなぁと感じてしまいます。
    低域の重量感が違うからか、Edition Xでは楽器の重みや大きさ、実体感がより正確に表現されているからだと思われます。
    また、HE400iのほうが作りとしては頑丈そうにすら見えるのですが、実際に比較試聴してみるとHE400iではイヤーパッド越しにハウジングの響きが濁りとして感じられます。

    音源側もいろいろと試してみました。
    まずはDAPにPLENUE Sを単体で使ってみますと、音量としては確保できますが、やはり低域が少し薄く感じられます。
    DACアンプとしてHiFi-M8も追加しましたが、これでも据え置きアンプと比べると純度の高さなどでやや差が出ていました。
    完全な開放型でもありますし、できればやはり据え置き環境で使ったほうが良いでしょう。

    普段はTASCAMのヘッドフォンアンプを使うことが多いのですが、DAC複合機のFOSTEX HP-A8でも細部の精度はずいぶん高まります。
    やや硬さはありますが、しっかり録音された音源では空気感まできっちり再現してくれ、リバーブ要素がとても明瞭に感じ取れます。
    ヘッドホン自体は余計な余韻があまり付加されないので、そうした場の雰囲気をしっかり捉えた音源のほうが得意でしょう。
    中高域ではややハウジングの響きが乗る部分はないとは言えませんが、HE400iとの比較でも書いたようにさほど気になるほどではありません。

    音楽のジャンルでは、フュージョンとはハイスピードさで相性が良さそうです。
    海外レビューを中心に、一部ではクラシック向きでないという記載も見かけましたが、私が聴いた限りでは特にそんなことはありませんでした。
    音色が自然なので、基本的にオールマイティではないかと思いますが、若干クールな傾向なのと中高域に若干のクセがあるからかもしれません。
    全般に楽しく聴ける傾向ですので、明るい楽曲のほうが相性が良いとは言えるのでしょう。

    ベースのキレも良好で強調感がないので音楽に専念できますし、ボーカルやパーカッションなどが入った場合でも他の楽器が明瞭なままなのは、低域側の歪みが少ないからでしょう。
    前述のように高域側はやや独自のクセがあるとは思いますが、HD800同様、それが適度な味付けと広がり感につながっている部分もありそうです。
    おそらく外側のカバー部分の共振がありそうなので、気になる方はここに対処するのも良いのかもしれません。

    いろいろと聴いてみて、これまでのヘッドフォンといちばん違って感じたのは、「マイクからの距離感まで把握できる」という点です。
    音源の質にもよるので常に…というわけにはいきませんが、この感覚はやはり上位モデルならではの精度からくるものかと。
    スピーカーとは音場再現こそ違うものの、音に包まれる感覚と相まって良質な音楽体験を提供してくれるヘッドフォンだと感じています。

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    2020/09/22 2:30 pm | HIFIMAN Edition X はコメントを受け付けていません
  • 209月

    LUXMANから純A級プリメインアンプ「L-595A LIMITED」が10月下旬に発売予定だとか。
    お値段は98万円(税抜)と、どうやら某国産A社を意識している印象です。

    デザインは1989年発売の「L-570」のデザインをモチーフにしているそうですが、当時のお値段は35万円でした。
    このモデルもたしかに純A級ですが、実効出力で50W+50W(8Ω)だったんですよね。
    今回のは30W+30Wと数字上はやや小ぶりになっていますが、4Ωで60Wを謳いたいがための控えめなスペックかと予想されます。
    L-570は2Ωで200Wをアピールしていたわけで、お値段を考えるとやや言い訳しづらい気もしますが…。

    内部レイアウトも全く異なっており、ヒートシンクも往年のラックスマンでは定番だったフィンラジエーターではないですし、あくまでも正面からの見た目が似ているという程度です。
    そもそも木製キャビネットもL-570にはなかったですし。

    さすがに今風にグレードアップされているのはボリューム部分で、お得意のアンプ回路⼀体化型・電⼦制御アッテネーター「LECUA1000」を搭載しています。
    コンデンサも合計80,000μF、全8本とかなりの物量投入です。
    ダンピングファクターも370としていて、これもまた某社対抗という印象で、以前のラックストーンとはやや違うのかも。
    ほかにもLINE-1だけ、高級そうなRCA端子にしてあったりと、他社対抗をかなり強く意識している様子が感じられます。
    正直、ブランドなりの良さを追求しても良い気もしますし、本当に良い部材なら全てに使ってほしいですけどね。

    フォノイコライザーもMC対応のものを搭載していますし、セパレート入出力もあるのは拡張性も高くて良いですね。
    それこそL-570の頃はプリ部のゲインが低めでPRE OUTがなかったですし。
    95周年を記念した300台の国内限定⽣産ということですし、今の国内需要をしっかり意識した仕上がりにはなっているように思います。

    Filed under: Audio
    2020/09/20 12:00 pm | LUXMAN L-595A LIMITED はコメントを受け付けていません
  • 149月

    QUADのCDプレーヤー「99 CDP-2」は予想に反して(失礼)、とても良好でDP-77と同頻度くらいに愛用するようになっています。
    SACDには対応しないですし、ディスクの状態にかなりシビアな傾向はありますけど、中域主体に厚めで音が散漫になりづらいのが気に入っています。

    当初は仮置きも良いところでDP-77の上に載せてありましたが、その後はラックの棚を調整してヒッコリーボードも敷いて安定感も増しました。
    ただ底面はゴム脚ですので多少中低域が緩いような印象もあり、なにかインシュレーターでも試そうかなと。

    すでに手持ちのものも多いので、J1 ProjectやAIKOHあたりを考えましたけど、AIKOHは大きすぎてラックの高さが足りず断念。
    J1は他の箇所で使っているものも多く、スパイク受けくらいしか残っていませんでした。
    諸々考えた結果、DALI CONE/BCのスパイクを底板に直接貼り付け、それをACOUSTIC REVIVEのSPU4で受ける形にしました。

    これでも奥のほうの天板がせり上がってる構造なので、高さはかなりギリギリでした。
    音色はやや硬調になりましたが、おおよそ狙い通りの方向性になってくれたようです。
    中低域が明瞭になっていますし、ギターを筆頭とした楽器類がより艶めかしくなっています。

    話が少し逸れますが、当初から欠品だったリモコンについては相変わらず解決策がなく、DAC部分は使えないままです。
    QUAD 77までとはメーカーコードが異なるようですが、Eliteシリーズとは同じみたいです。
    対応した記憶リモコンでもあれば御の字なのですけど、デジタルボリュームやデジタル入力切り替えは純正じゃないと無理でしょうし、当面は諦めておくことにしようかと思ってます。

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    2020/09/14 3:00 pm | QUAD 99 CDP-2にスパイク はコメントを受け付けていません
  • 119月

    山本音響工芸のスピーカー・アンプ用プレート型ベース「B-60」を導入してみました。

    オーディオボードはヒッコリーボードが大のお気に入りでほとんどのオーディオ機器にコレを敷いてあるのですが、サイズがW470W×D385D×H20mmでレコードプレーヤーなど一部の大型機器だと脚が乗り切らないのが唯一の欠点です。
    特注サイズも可能なようですが、木材のサイズの都合もありますのであまり大きいのは難しいようです。

    大型機器といってもレコードプレーヤーくらいで、そこにはRMF-1も使ってありますから絶対に必要というほどではなかったのですが、ちょっと他に試してみたところもあって入手してみることに。

    大きさはW600xD480xH25mmと、かなり大きめです。
    ただ、板を指で弾いてみた感じでは思っていたよりも響くみたいで、中も完全に詰まっているというわけではないのかもしれません。
    「アサダ桜材の集成材」というのは元々記載されていることですけどね。
    ちなみにアサダはカバノキ科の木ですので、バラ科のサクラとは厳密には異なりますが、建材としてはその色合いから「桜材」の名で流通しているんだそうです。

    アサダの気乾比重が0.7(ヒッコリー:0.83)、圧縮強度43.2〜55.9MPa(ヒッコリー:61MPa)ですし、用途にもよるでしょうけれども響きを乗せたくない場合にはやはりヒッコリーのほうが適任かもしれません。
    参考までにオーディオマニアさんが良く使われていらっしゃるブビンガは気乾比重が0.92、圧縮強度71MPaとなっています。

    そこで今回はまずアンダーボードとしてではなく、スピーカーの左側壁に立ててみることにしました。
    元々、両壁にはしっくい効果やシルクを使ったりしていますが、そもそもの壁の弱さが露呈している感が否めなかったのです。
    本来なら壁ごと強化するなり、そもそも左側の壁をぶち抜いて隣のクローゼット部分くらいまで拡張するリフォームもアリなのでしょうけど、いくら持ち家とはいえ、そこはなかなか手が付けづらいところです。
    そこを簡易的に壁を強化したような効果が得られれば…という目論見なわけです。
    全体的に前面ライブ、後面デッドにしたいなという気持ちもありましたし、全体的にデッドな部屋なので木材の響きの良さが多少乗っても良いかなというのもありました。

    結果としては予想以上の変化でして、どうやっても右に偏って散漫になりがちだった音場が整いました。
    中低域の音階もより明瞭になっていますし、やっぱり側壁の影響をかなり受けていたようです。
    下に置いてあるだけですが、中高域にもかなり影響はあって、楽器の音の質感も自然になったように感じます。
    やはり若干木材の響きは出ていますけど、小ホール的な雰囲気感がほんの少し足された程度ですし、壁前面を覆うほどではないので調味料的に分量を調整できるのも便利です。

    本来の使い方とはちょっと違いますが、石膏ボードの濁りが気になる方は他のボードでも良いと思いますので、似たようなことを試してみる価値はあるのかなと感じました。

    Filed under: Audio
    2020/09/11 2:00 pm | 山本音響工芸 B-60 はコメントを受け付けていません
  • 099月

    DENONからブランド創立110周年記念のMCカートリッジのセットモデル「DL-A110」が11月下旬に発売予定だとか。

    100周年の時も「DL-A100」というのが出ましたが、今回はカートリッジ本体はDL-103そのものです。
    ちなみにDL-A100も「最新のチューニング」とはされていたものの、丸針やインピーダンスなどは同じでしたから、外観がクリアモデルなだけだったとも言えますけどね。

    今回のセットが通常モデルと最も異なるのは専用ヘッドシェルが同梱されているところでしょう。
    その昔、放送局向けプレーヤーでは103専用とも言えるトーンアームで、オーバーハングなども固定だったですから、まさに専用のヘッドシェルで良かったわけです。
    今回もカートリッジごとに異なる取り付け穴の位置などに配慮せず、DL-103専用の形状のヘッドシェルになっています。
    むしろ、当時のオリジナルヘッドシェルを忠実に再現したといったほうが良いのでしょう。

    いくつか気になるのは汎用的なトーンアームで使用した場合、それで本当に「本来の性能を引き出す」ことになるのかというところでしょうか。
    ユニバーサルタイプのトーンアームでしか意味がないのはもちろん、オーバーハングも微調整はできません。
    なによりDL-103は高さが低めな傾向ですから、スペーサーが必要になるケースは多そうです。
    自社のプレーヤーでは一応合うように配慮してあるとは思いますが。

    お値段も限定モデルということもあり、62,000円(税抜)とヘッドシェルとのセットということを加味してもやや高めの設定です。
    できればヘッドシェル単体でも販売してほしかった気はしますけど、そもそも通常のヘッドシェルも今は単品では出していないですからね。
    リード線については触れられていませんが、ヘッドシェル自体が専用ということなのでリード線を交換可能な形にはなっていないと思われます。

    また、保証も5年間の無償保証サービスとなっていますけど、当然ながら針は対象外なので、そこ以外で壊れるところがそんなにあるのかなぁともちょっぴり感じてしまいます。
    DL-103自体は針交換がまだまだ可能なようですから、そういう意味での安心感はありますけどね。

    なお、ヘッドシェルを含めた質量は18.5gなので、大抵のトーンアームはおそらく対応可能でしょう。
    なんだかんだ言っても今となってはこの価格帯での対抗馬は少ないですし、DL-103存続のためになるのでしたら良い記念モデルかなという気もします。

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    2020/09/09 3:00 pm | DENON DL-A110 はコメントを受け付けていません
  • 039月

    marantzからネットワーク再生機能搭載のSACDプレーヤー「SACD 30n」が9/5に発売だそうで。

    プリメインアンプの「MODEL 30」と同時発売ですが、今回からガラッとデザインが変更になっています。
    ブランドイメージ統一もあるでしょうし、部材の共通化でコストを抑える側面もあったのではないかと思うのですが、そろそろ新しいデザインに…ということなのでしょう。
    ブランドのキャッチコピーも「Modern Musical Luxury」に変更するんだそうで、AccuphaseやLUXMANを意識したところもあるように感じられます。
    デザイン自体の方向性はむしろ最近のスマホなどを意識したようなモダンな方向性ですけどね。

    30というのはマランツにとって昔から重要なナンバーですし、その第一弾としてSACDプレーヤーを出してきたのはちょっと意外でした。
    ネットワーク再生はHEOS搭載で現代的なものですが、やっぱりまだ円盤再生が重要との判断でしょう。
    MQAにはファイル再生もMQA CDも非対応というのも結構予想外な印象を受けました。
    なお、DAC部としては32bit/384kHzまでのPCMと11.2MHzまでのDSDに対応しており、独自のディスクリートDAC「Marantz Musical Mastering」の第3世代のものを搭載しているそうです。

    光学ドライブは「SACDM-3L」搭載で、SA-12のメカをややコストダウンしつつも近い品質を維持したんだとか。
    いまやSACDが読めるドライブ、ピックアップは貴重ですし、D&Mがほぼ唯一の供給元でもありますから、自社でもバンバン使ってもらったほうが安心ですね。

    入出力はかなり充実していて、LANやUSBはもちろん、Wi-FiからBluetoothまでデジタル再生系はコレ一台に任せられる感じでしょう。
    出力側もHDAM-SA2搭載でフルディスクリート、さらには3段階のゲイン切り替えまで備えたヘッドホンアンプを搭載しているので、機能はもう満載です。
    それぞれの回路をオフにしたりもできるようですが、今回取り上げなかったプリメインアンプもパワー部はD級アンプ(Hypex NC500)のようですし、そのあたりは時代を反映した構成です。
    もちろんノイズ対策に抜かりはないと思いますけどね。

    お値段は27万円(税抜)と高騰化が目立つオーディオ界隈にしては良心的なお値段かな。
    今年はイベントも中止が目立ちますし、なかなか試聴の機会もなさそうですけど、そちらについても貸し出しとか新しい形での体感ができるような仕組みづくりもぜひ取り組んでほしいなと思います。

    Filed under: Audio
    2020/09/03 2:00 pm | marantz SACD 30n はコメントを受け付けていません