• 205月

    みんぽすさんからお借りしているシグマのレンズ「35mm F1.4 DG HSM」ですが、手持ちのMFレンズ「Nikkor 35mm F1.4」と撮り比べてみました。

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    まず断っておきますと、NikkorのほうはAi-Sですらない、かなり古いレンズです。
    調べてみた感じだと1971年発売の初期タイプのものだと思います。

    サイズは思ったよりは違わず、超音波モーターHSM(Hyper Sonic Motor)を内蔵していたりするわりにはシグマのサイズはコンパクトだなぁと。
    後ろ玉の大きさはむしろNikkorのほうが大きいくらいですが、フィルタ径はさすがにNikkorが当時の定番の52mmに対して、シグマのほうは67mmです。
    少し前あたりはシグマさんは超巨大なフィルタ径のがたくさん出てましたけど、67mmくらいだとフィルタも使いやすくて便利なサイズで良いかと。

    最短撮影距離は双方とも30cm、重さはシグマが665g、Nikkorは400g、レンズ構成についてはシグマが11群13枚でNikkorは7群9枚となっています。
    レンズを覗いてみると枚数が少ない分、ニッコールは抜けがよさそうに見え、シグマさんはコーティングや非球面レンズが使われた現代的な設計だなと感じます。
    使い勝手ではどう見てもシグマの圧勝で、絞りもキレイな円形ですし、何より静粛なAFが使えるのはやっぱり便利でした。

    とはいえ、オールドレンズを前にしては描写でも圧勝してもらわなければ、というわけで撮影比較もしてみました。
    まずはシグマを開放で撮ってみます。

    [ SIGMA 35mm F1.4 DG HSM 絞り:F1.4 ]

    続いてNikkorも同様に絞り開放です。

    [ Nikon Nikkor 35mm F1.4 絞り:F1.4 ]

    双方とも一応RAWで撮影していますが、色温度を合わせた以外はデフォルトのままで現像しています。
    前回も書いたように、以前のようなAEの暴れがなく、露出が綺麗に揃ってるのが分かっていただけるかと思います。
    描写に関してはNikkorのほうが少し二線ぼけっぽい感じでボケがうるさいのに対し、シグマのほうは開放の柔らかさを持ちつつ、ピントが来た部分はシャープになっていて非常に優等生です。
    等倍で見てみるとNikkorは滲みが感じられますが、シグマだとまるでカメラの世代が違うくらいにシャープな描写になってくれているのが分かっていただけるかと。

    次は少しだけ絞ってF2.8で撮ってみます。

    [ SIGMA 35mm F1.4 DG HSM 絞り:F2.8 ]

    [ Nikon Nikkor 35mm F1.4 絞り:F2.8 ]

    このくらい絞るとNikkorもなんとか実用的にはなってきますが、やっぱりシャープさや収差などを比べればシグマのほうが圧倒的で、格の違いを感じます。
    レンズそのものの世代的なものだけに留まらず、「カメラを買い換えるよりレンズをこっちにしたほうが良いのでは?」と思わせるところがスゴイなぁと。
    それもただ無闇にシャープでハイコントラストではなく、トーンも豊かなのが良いですね。
    巷の評判が非常に高いのも、なるほど、と思わせるものがあります。

    最後にF2.8の時と同じ被写体で再びF1.4開放を貼ってみます。
    こちらはあえてレンズ名を白文字にして隠しておきますので、先入観なしで眺めてみてくださいね。

    [ SIGMA 35mm F1.4 DG HSM 絞り:F1.4 ]

    [ Nikon Nikkor 35mm F1.4 絞り:F1.4 ]

    あえて欠点を挙げるとするなら、絞ってしまうとレンズの味が減ってしまうところでしょうか。
    それはどんなレンズでも同じことですし、絞った場合のボケ味がもう少し柔らかくても良いかな、という程度ですけどね。
    できれば積極的に開放近くの描写を使いたいところで、そのためにはAF精度も重要になってくるかも。
    シグマさんからは合焦位置の調整等ができる「SIGMA USB DOCK」も出ているので、カメラによってはこれも持っておくと良いかもしれません。
    なお今回、私がNikon D300で使った限りでは合焦位置で気になるところは皆無でした。

    あとはもう価格くらいしか難点が残されてなくて、そのお値段も現行のNikkorと比べれば圧倒的に安いわけですし、やっぱり評判通りの素晴らしいレンズという結論以外にはなさそうです。

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    Filed under: Mono Fellows
    2013/05/20 7:00 pm | SIGMA 35mm F1.4 DG HSM レビュー 比較編 はコメントを受け付けていません
  • 195月

    みんぽすさんからSIGMAの単焦点レンズ「35mm F1.4 DG HSM」をお借りしました。

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    先日もカメラグランプリ2013のレンズ賞を取ったほどの人気のレンズですが、第一印象としてはそれに違わぬ素晴らしい仕上がりのようです。

    これまでもシグマさんからはレンズを結構色々お借りしていますが、うちのNikon D300が古いからなのか、それとも純正レンズでないという非互換部分があるからなのか、露出が暴れるケースがあったのですが、今回の35mmではそれがなくなっているっぽいのがまず嬉しいポイントです。
    描写ももちろん開放から素晴らしいもので、次回以降ぼちぼちと紹介していきますが、手持ちのMFレンズ「Nikkor 35mm F1.4」と比べるとやはり世代の違いを魅せつけてくれます。

    撮影自体もHSMの静かさとAFの早さもあって快適で、むしろD300のAF合焦音がうるさく感じるほどでした。
    こんなふうに言うとちょっと誤解を与えるかもしれませんが、良い意味でNikkorに近いトーンや色合いを兼ね備えた雰囲気に感じて、Artラインという新しいレンズコンセプトのデザインと相まって、少し路線変更したのかな、という気もします。
    もちろんシグマさんらしいシャープさを残しつつ、トーンの豊かさとしっとり感を身につけたという印象を受けました。

    もちろん光学性能は驚くほど優秀で、開放F1.4でもピントが来た部分は非常にシャープで、そこから滑らかにキレイなボケ表現です。
    あまりに開放側の描写が良くてついつい絞りを開け気味にしたくなります。
    周辺部の色収差も皆無に近いですし、そもそも無理に補正した感じがなく、光の抜けが良いのが素晴らしいですね。

    最短撮影距離も30cmと、手持ちのNikkor 35mm F1.4と同じくらい寄れますし、一般的には描写性能に破綻が出がちな近接撮影でもしっかり性能が維持されていて、文句のつけようがありません。
    フローティングインナーフォーカスが採用されているおかげもあって収差変動が少ないのでしょうし、そもそもレンズが前に伸びないので扱いやすいのも良いです。

    あいにく天気があんまり良くなくてほんのお試し程度の撮影でしたが、それでもこのレンズの評判の理由がしっかり認識できた気がします。
    次回以降、手持ちのNikkorとの比較やいろんな被写体での撮影など、貸出期間いっぱい楽しませてもらいつつレビューできればと思っています。

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    Filed under: Mono Fellows
    2013/05/19 7:00 pm | SIGMA 35mm F1.4 DG HSM レビュー 到着編 はコメントを受け付けていません
  • 065月

    みんぽすさんからお借りしているFUJIFILMの「X100S」と「X-E1」ですが、両方を持って出かけてみました。

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    [ FUJIFILM X100Sにて ]

    まずは使い勝手の部分ですが、気軽なお散歩撮影やスナップが多い私にとってはX100Sのほうがお気に入りです。
    双方のカメラとも、往年のライカを思わせるようなデザインですが、単に見た目を真似てるだけではないというところではX100Sのほうが「撮る道具」としての完成度が高いからかも。
    主な要因としてはやっぱり秀逸なハイブリッドファインダーによるところが大きいかと。
    また、固定式レンズを活かしたコンパクトさも良好で、X-E1に装着した14mmは優秀ながらもやっぱり大柄すぎて「よし、撮るぞ」という気合が必要になってしまうところがあります。

    [ FUJIFILM X-E1にて ]

    [ FUJIFILM X100Sにて ]

    写りの部分ではX-E1の良さも出てきて、本来であれば一世代古いはずのX-Trans CMOSですけど空の青の粘りで大きくX-E1のほうが有利なのが意外でした。
    X100Sのほうはローパスフィルターを省いていることで恐ろしいほどのシャープネスを発揮してくれますが、じっくり絵を仕上げるのにはX-E1の有利さもある印象です。
    当然ながらレンズ交換することで多彩な画角も楽しめますし、ズームレンズも装着できますし。

    [ FUJIFILM X-E1にて ]

    [ FUJIFILM X100Sにて ]

    オートフォーカスについてはどちらもメーカーが同じということもあって、挙動は似ています。
    他社のミラーレスと比べると近接撮影で中抜けがやや起こりやすい傾向で、X100Sのファームウェアを更新してもその傾向自体はあまり大きな変化はありませんでした。
    描写そのものはX-E1の場合、レンズによって変わってくる部分もあるかと思いますが、どちらかと言うとX-E1のほうが現代的、X100Sは銀塩っぽい豊かなトーンを重視した絵作りのように感じます。
    私のようにたくさんカメラを持っていて、その中で持ち出したくなるカメラとしてはX100Sのほうが魅力的ですけど、一台でいろんなニーズをこなすと考えればX-E1のほうが使い勝手は良いだろうと思います。

    [ FUJIFILM X100Sにて ]

    できればX100S相当のXマウントレンズも欲しい気がしますが、一体型だからこそ実現できたという部分もあるのかもしれませんね。
    進化の早いデジカメですからおそらくそう遠くないうちにX-Trans CMOS IIを搭載したX-E1やX-Pro1の後継モデルが登場するでしょうが、X100Sのほうはそれとはまた違った魅力と使い勝手を持ったカメラだと思います。

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    Filed under: Mono Fellows
    2013/05/06 7:00 pm | FUJIFILM X100SとX-E1を撮影比較 はコメントを受け付けていません
  • 065月

    FUJIFILMのカメラ「X100S」のファームウェアがバージョンアップして1.02が公開されています。

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    ちょうど、みんぽすさんからお借りしているところなのでアップデートしてみました。
    更新内容については、以下のとおりとのこと。

    AFの合焦精度が向上しました。
    ISO1600以上でOVFのブライトフレームの明るさが周囲の明るさに応じて変わらない現象を改善しました。

    AF精度に関してはたまに中抜けする傾向はありますが、X-Trans CMOS IIの驚くほどのシャープさの下でもしっかり使える精度だと思ったのですけど、さらに改善されるのならそれは良いことですね。
    これは富士フイルムに限った話ではないですが、高級機ほどファームウェアの更新はしっかりされる傾向があって、それが普及機との差別化にもつながっているのでしょうけど、買った後の満足感にもつながっている気がします。

    なお、お借りしている機体はアップデート前は1.00でした。
    アップデート後にちょっとだけAFを試してみましたが、近距離でのAFの挙動が少し変わったかな?というくらいでしょうか。
    具体的には一旦、無限大方向に大きめに外して、そこから徐々に近距離方向に戻ってくるような感じになった気がします。
    精度の検証まではしていませんが、こちらも近距離の被写体に対してピントを外すことが減ったような印象ですけど、以前からそんなに困った場面もなかったので気のせいかも?といった程度です。

    本編のレビューから外れましたが、返却までまだ少しありますから更新したファームウェアで撮影を継続して、そこで違いを感じる場面があればまたご報告したいと思います。

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    Filed under: Mono Fellows
    2013/05/06 12:00 pm | FUJIFILM X100S ファームウェア1.02 はコメントを受け付けていません
  • 294月

    みんぽすさんにお借りしているFUJIFILM X100Sですが、正直期待以上の完成度にビックリしていますが、唯一ちょっと気になるのが開放寄りでの描写の甘さです。

    17235-604-292443

    23mm F2と明るめのレンズは室内での撮影などでも重宝するのですけど、オールドレンスに良くある感じのふんわりしたフレアが出ることがあります。
    素子が大きめなこともあって被写界深度が浅いとか、ピント自体がピシっと決まってないという要素も多分にありそうですが、絞りを変えて比較撮影してみることにしました。

    [ 絞り値:F2.0 ]

    さきほどの室内撮影とは違い、ピントが来ているところはそこそこシャープに撮れています。
    そこから被写界深度を少し外れた時に二線ぼけがにじんだような感じになっていて、それが滲んだような印象を与えるのかも。
    また、これは詰めた確認をしていないのですが、どうもマクロ域での撮影でこうした描写の甘さが目立つような気がします。
    レンズ先端から約10cmまで寄れるマクロモードはとても便利ですが、開放域での描写を考えるのであれば標準モードの約50cmでの使用に留めたほうが良いのかもしれません。

    [ 絞り値:F2.8 ]

    続いて一段絞ってF2.8で撮ってみると、シャープさ自体にそれほど大きな変化はないものの、さきほどの前後のボケが自然になっているように感じます。
    ちなみにX100Sの絞り羽根は9枚で、後ろの光もほぼキレイな円形となってくれているのも分かります。

    [ 絞り値:F4.0 ]

    さらにF4まで絞ると、X100Sの本領発揮という感じですね。
    さきほどまでの描写でも十分すぎるほど立派なものなのですけど、F4〜F5.6あたりの素晴らしいキレを見てしまうとついつい贅沢になってしまうというものです。

    ただ、よりハイスピードで、より近寄って撮りたいというニーズやシチュエーションはあるわけで、あまりマニアックに先鋭さばかり求める必要はない、とも思います。
    こういったカメラやレンズのクセを把握しつつ、多彩な撮影を楽しめるのもX100Sの良さではないかなと感じますし、つくづく使いこなしたくなるカメラに仕上がっているなと感じているところです。

    17235-604-292443
    Filed under: Mono Fellows
    2013/04/29 7:00 pm | FUJIFILM X100S 開放寄り絞りでの描写比較 はコメントを受け付けていません
  • 274月

    みんぽすさんにお借りしているFUJIFILM X100Sでいつものご近所撮影をしてみました。

    17235-604-292430

    撮影してみて感じるのはその外観同様、フィルムを意識した描写をしてくれるなぁと。
    詳細に見てみるとローパスレスということも手伝って非常にシャープですが、レンズは開放寄りや被写界深度を外れた部分ではふんわりとやさしい滲みを伴ってくれますし、少し絞ればぐっとシャープになってくれます。
    また色乗りもカラフルな被写体ではしっかり色が乗ってきますし、ここはやさしい色合いでと思う部分では自然な風合いを表現してくれるので、色んなものを様々な設定や構図で撮りたくなります。

    フィルム時代にはDIRカプラーという技術がありましたけど、なんとなくそれに近いような処理がEXRプロセッサーで施されてるのではないかなぁ、なんて推測してみたり…。
    いずれにしてもスタイルだけが銀塩っぽいわけではないところは富士フイルムの銀塩時代から脈々と続く技術と情熱が注がれているのだと思います。

    反面、それが裏目に出る部分もないわけではなくて、上の写真のような青空と葉っぱの境界部分にちょっと不自然なエッジが立つケースが見受けられました。
    X-Transの特性によるものなのか、それともEXRプロセッサー側の処理によるものなのかは不明ですが、さきほど挙げたDIRカプラーみたいな処理の影響なのかな?と思った次第です。
    ちなみにここに貼ったのはRAW現像した画像ですが、JPEGでも基本的には同じ傾向のようです。

    また、色乗りが良いだけに真っ赤なバラでは色飽和が起こりがちです。
    デジタルカメラでは概してその傾向ですけど、ベイヤーの他のカメラと比べても少し飽和しやすいような印象はあります。
    RAWから現像すればこれもだいぶ緩和されますけど、飽和直前の部分はどうしてもリニアリティが下がってしまう傾向は出てしまいます。
    もちろん、撮影時点での工夫で回避できるレベルですけどね。

    実際には欠点と呼べる部分は非常に少なくて、むしろレンズ一体型だからこそ実現できたであろうメリットのほうが印象に残る撮影でした。
    素晴らしいからこそ、ちょっと欲が出てしまって気になる部分も目立ちやすいのでしょうけど、そんな些細なことよりもビシッと決まった時の魅力のほうが数倍大きいカメラですね。
    なお、今後はX-E1や手持ちのカメラ、それに多少甘さが見られる開放寄りの描写を見るべく、絞り値での変化などを取り上げていければと思っています。

    17235-604-292430
    Filed under: Mono Fellows
    2013/04/27 7:00 pm | FUJIFILM X100S レビュー 実写編 はコメントを受け付けていません