デジカメに精通した方なら耳にしたことがあるかもしれませんが、キヤノンのDIGIC機には「CHDK」と呼ばれる改造ファームウェアが存在します。
これを使うと、本来は備わっていない様々な機能を使えるようになります。
一番目立ったものとしてはRAW撮影でしょうか。
かなり古い機種からわりと最近のものまで各機種用のものが出ていますが、先日ゲットした「IXY DIGITAL 25IS」にもベータ版ながら用意されているので、使ってみることにしました。
まずはCHDKをダウンロードします。
25ISの海外名はIXUS 85ですから、これを使いました。
機種のファームウェアのバージョンを調べると、GM1.00Aなので、サポート対象です。
本体のファームウェア自体を書き換えるわけではなく、ファームウェア更新の口を利用して動作させる形になってるようですね。
メモリカードに解凍したCHDKをコピーして、SDカードの書き込みロックをオンにすれば基本的に使えますが、これだと毎回ファームウェア更新を呼び出す必要が生じます。
SDカードにブート設定をすればラクチン起動になりますが、Mac用のユーティリティソフトは情報が少なめです。
調べた結果、AppleScriptが用意されていたので、これを使いました。
フォーマットの際に誤ってHDDを指定しないように注意が必要ですし、SDカードのラベル名が”NO NAME”ではダメだったりと、実行にはかなり気を付けないといけませんけどね。
あとは普通通りカメラを起動すれば、CHDKが自動で立ち上がります。
もちろん、本来のカメラの機能はそのまま使え、プリンター転送ボタンを押せば、CHDKで追加された機能が呼び出せます。
そこで真っ先にRAW機能をオンにしますが、まだまだ設定が必要です。
このままだと出力されるCRWが現像ソフトでサポートされない機種になってしまいます。
DNGで出力する機能があるのですが、これにはデッドピクセルを検出した「badpixel.bin」というファイルが必要です。
これもCHDKで追加されたスクリプト機能で作ることができるのですが、これがどうもうまく生成できずに苦労しました。
スクリプト実行時に自動で2枚ほど写真を撮るのですが、ここでレンズをふさいで真っ暗にしていると、どうもうまくいかないようなんですよねぇ。
ネットで調べた感じでは真っ暗のほうが良いようなんですが、25IS用のCHDKがベータ版だからかなぁ?
ここまでうまくいけば、DNG出力もできるようになり、PhotoshopやLightroomでバッチリ現像できるようになりました。
なお、かなりリスキーな内容なので、あえて細かい説明を避けました。
最悪、カメラが壊れてしまう可能性もありますので、あくまでも自己責任で。
という長い前置きでしたが、それで撮った写真をご紹介。
小さな撮像素子ですが、RAWから引き出される情報はやはりさすが。
なお、DNGのファイルサイズは15MBほどで、JPEGと同時記録されます。
保存にはそこそこ時間がかかりますけど、普及機でRAWが使えるというのはすごいですよね。
次はJPEGとRAWの比較をしてみましょう。
まずはJPEGから。
そして次はRAWを現像したものです。
生のデータを見ると、結構ノイジーですし、パープルフリンジも目立ちます。
そこはLightroom 3の強力な修正機能のおかげもありますね。
RAWだけでなく、感度オートの設定変更や動画撮影時のズーム有効化など、いろんな機能を追加できます。
その分、使いこなしはかなり面倒な部分がありますが、少し前の機種を蘇らせる改造方法としては、なかなか面白いかもしれません。