上海で開催している開発者向け会議の基調講演で、ピンボケ写真
から合焦した画像を作り出すという技術「Light Field Photography」
というのが紹介されたそうで。
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/other/2008/04/03/8249.html
内容としては、レンズの光学特性や画角、ピント位置などから逆算
して本来の合焦画像を生成するというものらしいです。
「Wavelet Relighting」という言葉も出てくるので、おそらく周波数空間
上の逆フィルタのようなものを掛けてあげるのでしょうね。
ただ、記事では1枚の画像は「周囲の光と混ざり合っているだけで、
情報が失われているわけではない」としていますが、それはちょっと
どうかなぁと思います。
ボケというのは加算型のコンボリューションで、他にもこれを「逆算」
するデコンボリューションの処理は結構発表されていますが、1枚では
レンズの光学特性も単純ではありませんし、空間を通過する間にも
情報はかなり複雑に欠落してしまうような気がします。
記事で紹介されているように、一直線上に被写体が並んでるケースや
至近距離のボケは逆算できても、遠景や、より複雑な配置での解析は
かなり難しいのではないかと。
より現実的なのは、2枚写真があることでしょうね。
任意の異なる合焦位置の2枚があれば、かなり精度を上げて合焦
画像が合成できるような気がします。
とはいえ、こうした技術が進むことは、画像処理に関わる身の私と
しては興味深くもあります。
ただ、一方で銀塩写真でレンズの味が云々などと言っている趣味の
自分にとっては、ちょっと味気ない世界だなぁとも思ってしまいますね。
あと、こうした技術があっても、手ぶれがあるとやっぱりこれはまた
別の処理技術を要しますし、ぶれの「軌跡」がわかる必要が出てきます。
ですから、手ぶれのない写真を撮るのは、今後もまだまだ大事という
ことですね。
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