ソニーから音を大胆に重視したビデオカメラ「HDR-MV1」が国内発表されました。
私はやっぱり音の部分が気になるので、そこに重きを置いて取り上げてみようかと。
見るからに「良い音で録りますよ」というマイクが印象的なデザインですが、「ライブの空気感まで、リアルに収録」というキャッチフレーズが付いています。
一瞬、製品写真用で実際に録音する時は倒して使うのかと思ったんですが、「120°X-Yステレオ方式マイク」になっていて、立てた状態で音場感のある録音が可能になってるんですね。
もちろん、これが得意な音源とそうでないものもありそうですけど、少なくとも通常のビデオカメラに比べたら格段に良いはずです。
ただ、ちょっと気になるのは最近、ソニーが大きく展開しているハイレゾへの対応がないところでしょうか。
開発時期がズレているから仕方ない面もあるのでしょうが、16bit/48kHzのみというのは少しさびしい気もします。
データ量の問題もありますからセールストークを無視すればハイレゾである必要は必ずしもないのでしょうけれど、16bitだと音割れorビット落ちしやすいというのもありますし、24bit対応だけでもしていたらなぁ。
また、ミュージシャンへのアピールという点でも、CD制作のベースになるように44.1kHzにも対応してくれてると良い気がしますが、これはSCMSの名残りでしょうか。
音声のみモードの場合はWAVでの記録のようですから、パソコンの波形エディタなどで編集しちゃえば操作性の点ではそれほど大きな問題ではないでしょうけど、近い周波数でのリサンプリングは音質劣化にもなりますし…。
なお、動画の場合にも音声はリニアPCMでも記録可能で、この場合はMPEG-4動画に埋め込まれる形になるようです。
動画だとフル充電でリニアPCM音声の連続撮影で2時間10分とちょっと心許ない感じもありますが、音声だけなら18時間35分ですし、サイズのわりにはかなりスタミナのあるほうでしょう。
大きな液晶画面は動画を撮らない場合でもレベルメーターや操作性の点で非常に役立ちそうな気がしますし、本番だけを動画で撮ればメモリカードの節約にもなるでしょうしね。
価格もリニアPCMレコーダー並みの2万円台となかなか意欲的で良いチャレンジだと感じる一方、これが「One Sony」としての提案として最終形ではないのでは?という印象も残ります。
ただ、どんなジャンルでも新たな分野を切り開く製品は、いきなり完成形が出てくるわけではないですし、まずは想定されているようなミュージシャンへのニーズから開拓して伸びていってほしいなと思います。