クラリオンがCEATECでフルデジタルスピーカーシステムを披露したそうで。
フルデジタルスピーカーというとオンキヨーが研究開発してた記憶があるのですが、製品化はクラリオンのほうが先のようですね。
ただ、ベースとなる技術はどちらもTrigence Semiconductorの「Dnote」なので、技術的バックボーンは同じようです。
理論としては複数のボイスコイルを用意して、デジタル信号のレベルに応じてボイスコイルへの通電数を変化させてスピーカーを動かすというもの(かなりざっくりですが)です。
ただ、ボイスコイルは今回の製品で6つしかないので、そのままだと6bitの分解能しかないことになります。
それを解消するために、11MHzのオーバーサンプリングとデジタル変調をしている辺りがDnoteの役割ということかと。
最近のDACチップもΔΣとマルチビットを組み合わせているものが多いので、スピーカーがD/Aコンバーターを兼ねてると思えば良いでしょうか。
とはいえ、「フルデジタル」という言葉がひとり歩きするのもどうかなぁというのが、古くからのオーディオファンの硬い頭からの意見でもあります。
「デジタルだから音質劣化がない」というイメージが強いですが、それはパソコンなどのデータ処理での話でして…。
オーディオでのデジタルデータの扱いは、言わばストリーミングのような「流しっぱなし」の状態ですし、そもそも最終的にはスピーカーが空気を動かすところでアナログにならざるを得ないわけですしねぇ。
現状ではDA変換精度はまだまだ半導体上でやったほうがメリットが大きい気もします。
しかし、そんなことを言ってたら技術的な進化がないのも確かで、フルデジタル駆動にすることで画期的に省電力になるというメリットも捨て切れない魅力です。
いわゆるD級アンプも十分なほど高効率ですが、それを上回る高能率は分野によっては今後伸びてきそうです。
だからこそ、上辺の「デジタルだから音質劣化がない」という部分ではなく、実際の音で勝負していってほしいなぁとも思います。