先日、みんぽすさんにお借りしたCAVジャパンのiPod Dock搭載真空管オーディオシステム「VAZIO T-2」ですが、エージングもまだ途中ではありますが、チューニングを始めてみました。
まず、T-2本体にはトーンコントロールなどの音質調整機能は一切搭載されていません。
iPod Classicにはプリセットのイコライザがありますが、音質的に使えるようなものは残念ながらあまりありませんから、ここはMacのiTunesからONKYOのUSBオーディオ「SE-U55X」を経由しての再生でチューニングしてみることにしました。
まずはいつものようにピンクノイズを使ってのイコライザ調整からやってみます。
ベースとなる未調整の特性をMac用フリーソフト「iSpectrum」で見てみます。
見たところ、なかなか素直な特性のようです。
ただ、実際に聴いてみると以前使ったKENWOOD K-521やOlasonic TW-S7よりも「じゃじゃ馬」な部分があるんですよねぇ。
上の特性は平均化したものにしてありますが、リアルタイムな特性を見てみると「ゆらぎ」があるように感じます。
時間とともに細かなピークとディップが現れますし、もしかすると表示には出ない幅での小さな山谷もあるのかもしれません。
こういう時にいちばん良いのが耳による調整です。
iTunesのイコライザで、スライダをひとつずつ動かし、ピンクノイズ全体の中でそのスライダで変化する周波数帯の音量のバランスが整うように調整していく、というわけです。
言葉で書くとわかりづらいですが、要はピンクノイズを聴きながらスライダを調整していくんですね。
そうすると、不思議と音楽でもバランス良くなるんです。
ってなわけで調整したイコライザ設定と周波数特性は下の通り。
特に気になったのは250Hzの厚みですね。
ここがちょっと分厚い感じなので、ちょっとブーミーな印象になってしまう部分があるのではないかと感じます。
ただ、音には好みもありますし、スピーカーなどの配置や部屋の環境の影響もあるかもしれませんので、あくまでも参考とお考えください。
しかし、イコライザによる調整に頼るのは面白くありませんし、潜在能力はまだまだこんなものじゃないという印象もあって、さらに色々試してみました。
まずは先日も紹介した「iTunes_afplay」を使ってみます。
すると、素のiTunesとは明らかな違いを感じます。
レンジの広さや音の粒立ちなど、MP3の狭い枠から解放されたような印象すら感じます。
その差がしっかりわかるというのも、もちろんT-2の潜在能力の高さを象徴しているとも言えるでしょう。
afplayで再生時はiTunesのイコライザは当然無効なわけですが、特性を見てみても素のiTunesとはやはりだいぶ異なります。
中低音のブーミーさはやはり少し出てしまいますが、USBオーディオから出てくる音の締まりが良いので、ずいぶん印象が違ってくるのでしょうね。
逆にいえば、VAZIO T-2はPCオーディオではなくピュアオーディオの音源を必要とする世界の製品ということなのでしょうね。
それでもやっぱり中低音のクセは気になったので、これがスピーカーによるものなのか、それともアンプの特性なのかを確かめてみることにしました。
スピーカーを手持ちのオーラトーンに変更してみます。
真空管アンプはスピーカーのインピーダンス許容範囲が狭い傾向がありますが、幸い、オーラトーンの5CTVも6Ωなので問題ないようです。
こちらも純正スピーカーと同様にピンクノイズでイコライザ調整してみると、下のような設定になりました。
高域側は多少違いますが、250Hz付近のピークはやはり同じみたいですね。
ということはアンプ側にこのクセがあるということになります。
ファーストインプレッションではスピーカー側のクセかなぁと思っていたのですが、これはちょっと予想が外れたようです。
肝心の音質はどうやらオーラトーンがちょっと優位のようです。
元々このスピーカーはそうですけれど、中音域の音の粒立ちが細かいんですね。
ただし、音圧や能率はCAVのほうが高いですし、低域、高域双方ともレンジの伸びは明らかにCAV純正スピーカーのほうがHiFiです。
ここは完全に好みの問題ですし、さきほどのクセがスピーカーではなくアンプ側によるものということがわかったので、このクセを埋めるのか、活かすのかを考えてチョイスすれば良いと思います。
この後はインシュレーターやケーブル等、セッティングで徐々に好みの状態に追い込んでいこうと思っています。
また、それらが定まってエージングも完全に終わったら、再生音を録音して公開したりといったレビューをさせてもらう予定です。
また使い勝手の面やCDプレーヤー、プリアンプとの組み合わせについてもレポートできればと思っています。