以前、会社の講習を受けたときに、フィルムには「DIRカプラー」というものが
存在することを知りました。
「なんじゃそりゃ?」というのが、ほぼ大多数の方のご意見かと。
カプラーというのは光や色に反応するものでして、DIRというのはその中でも
「現像抑制剤放出型」と呼ばれるものです。
さらに分からなくなったかもしれませんが、実際の役目は色の境目を
はっきりさせたり、純色に近いもので色の濁りを抑える働きをしてくれます。
ご存じの通り、デジタルでもフィルムでも色は三原色に分けて検出される
わけですが、たとえば真っ赤な花を写した時には、できるだけのその赤さを
強調してほしいですよね。
いわゆる「記憶色」ってものですが、実際には少しだけ青が混じっていたり、
緑色っぽかったりとかするわけです。
そこで赤が強く感光したら、このDIRカプラーの出番です。
「ここは赤だからね!」というわけで、他の青や緑の成分が発色しないように
押さえ込んでしまうんです。
あの薄いフィルムの中で、こんな細かいテクニックが働いているとは、
ちょっと知らなかった世界な感じでしょ?
フィルムの発色がデジタルとなんとなく違うのは、こうした長年の技術の
積み重ねによる部分も大きいのかも。
ただ、デジタルこそ、むしろこうした画像処理はやりやすいはず。
単純に彩度を上げるだけではちょっと違うので、一番近い感じのものが
何かないかなぁと探してみたら、Photoshopの「特定色域の選択」が
かなり近い処理ですね。
例えば下の写真、少し黄色の発色が良くありません。
特定色域の選択で修正前 posted by (C)MacBS
これを「特定色域の選択」で修正した結果が、これです。
特定色域の選択で修正後 posted by (C)MacBS
だいぶ記憶に近い発色になっているかと。
彩度を上げただけとは、だいぶ違う結果なのではないかと思います。
フィルムの場合は、これを手作業でなく、全自動でやってくれるわけです。
やっぱりそこもすごいですよね。
ただ、さきほども書いたように、デジタルで類似、あるいはより高度な
画像処理は可能なはず。
ぜひカメラに実装してほしいですし、私も気軽に使えるフィルタアプリでも
作ってみようかなぁと思った次第です。